飛べない鳥
飛べない鳥は悪か。
いや、飛べない鳥はとりであり、
そもそも始めっから善でもなければ悪でもない。
飛べない鳥はとりではないのか。
いや、飛べない鳥は確かに飛べないけれど、
そもそも全ての鳥が飛ぶべきなんてのは、
誰かが勝手に思いこんでいるだけ。
飛べない鳥は歩みをすすめる。
小さな2本足の一歩一歩は、
ほんとに小さくて心もとないかもしれない。
でも、それでいいじゃないか。
歩む脚のスピードなんて、
誰かにいわれる必要もない。
飛べない鳥は遠くを見ている。
それは、飛べる鳥には
絶対にわからない視点と領域のもので
飛べないからこそ見える世界線。
飛べない鳥は今よみがえる。
地上についた脚は
大地のぬくもりに触れ
あふれんばかりの
形なき生命の息吹を吸い上げていく。
飛べない鳥は、うたいはじめる。
かつて空に放った魂のエンブレムは
誇り高き君がくれた僕らの絆。
飛べない鳥となった君はまだ
大きく羽ばたく自信がなくても
もしキズがまだ完全に癒えなくても
それでいいじゃないか。
君という鳥はきみだから価値がある。
飛べない鳥になることなんかより、
君が君自身じゃないことのほうが
ずっと怖いんだ。
だから君に何があっても
ただきみのままでいてほしいんだ。
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