【エッセイ】手抜きで作った動画が2000回再生された(『佐竹健のYoutube奮闘記(7)』)
手抜きで作った動画が、2000回再生を超えた。
その動画は、『【歴史解説】大名屋敷について』というもの。タイトル通り、大名屋敷について私が語った動画だ。
作られたのは一昨年の上半期。このときは声出しはやっていたものの、たまにしかやっていなかった。原稿を書いてそれを読むこと、そして録音した音声を文字起こしするのが面倒くさかったからだ。
原稿を読むのも手間だが、特に文字起こしという作業は、非常に面倒くさい。相手が何を言っているか録音した音声を正確に聞き取り、書き写さねばならないからだ。
それゆえに当時の動画は、文字と音楽、画像だけというスタイルがデフォルトだった。声を録音したり、文字起こしをしたりする手間が無いので、その方が編集するのも楽だ。
ある日私は「大名屋敷」をテーマにした動画を撮ろうと思った。
「企画が決まったら、素材を撮りにカメラを持って、自転車に乗って出発だ」
このノリで素材を撮りに行きたかったが、時間があってもやる気が無かったので辞めた。
また、情報を仕入れるためには、図書館へも行かねばならない。
図書館は当時もよく行っていた。だが、当時は、現在書いている小説のストーリー制作のための資料集めが、図書館を利用する第一目的だった。そのため、江戸時代のことは調べようとする気持ちはあまりなかった。
「動画のためにどこかへ行く気もない。江戸時代に関する情報収集もあまりやる気がない。さあ、どうやって動画を作る?」
このことについて、私は考えた。考えている途中で、大名屋敷の動画を作るのを辞めようかな、と思った。だが、この懸念はすぐに解決した。
前の年に行ってきたときに撮った、藤堂家の下屋敷跡地にあった門の写真がスマホの中にあった。サムネと素材はこれを使うことにした。
読む原稿の方は、以前書いた史跡紀行文『佐竹健の探検記』の「第17回 江戸時代のあれこれ①─大名屋敷の話─」を使うことで解決した。
使う、と言っても、ただ使うだけではない。原文にある大名屋敷についての記述を上手く要約したものを原稿として音読した。
そしてできたものを、Youtubeにアップした。『【歴史解説】大名屋敷について』というタイトルで。
最初はあまり見られなかった。だが、2022年に入ってから不思議と見られるようになって、今年の元旦には1000回再生を超えた。そして今月2000回再生を超えた。惰性で作り、背景に葛藤とか楽しみとかそうしたものが一切ない作品なのに。
なぜ、『【歴史解説】大名屋敷について』という動画がたくさんの人に見られているかは、正直私もわからない。だが、わかったことは一つある。
それは、本人が手抜きで作ったつもりの作品でも、多くの人に見られることが稀にあることだ。
だからといって、その稀に起きる奇跡にばかり期待するのは良くないが。
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