後輩が昔撮っていた動画を見て
去年から私はYoutubeに動画を投稿している。
投稿している動画は、歴史散歩、動物、ツイキャスの朗読アーカイブがメイン。たまに100均で買ってきたものの紹介や、私が普段使っているスマホアプリやPCソフトの紹介もしている。
去年までは文字と写真だけの動画がほとんどだったが、今年の春から音声をつけ加えることにした。この方が片手間に聞きやすいだろうし、文字だけ動画よりも再生数が多くなるからだ。
案の定音声をつけた動画の評判は良く、Twitterのフォロワーから、
「わかりやすいです」
「いい声だね」
といった反応が多かった。
私は少しうれしかった。音声を付け加えるだけでも、こうも動画の印象が良くなるとは思っていなかったからだ。
音声付きの動画は、原稿を読み上げる作業が億劫ではあるが、これからも作っていくつもりでいる。
去年Youtubeを始めたことを、古くから付き合いのある後輩に話した。
この後輩と私は、中学生のときから付き合いがある。小説を書くときには何度彼の世話になったことか。
Youtubeで動画投稿を始めたことを聞いた後輩は、
「おー、健もYoutubeやってたんだね」
意外そうな反応を見せてくれた。そして、
「ちょっと待ってて」
と言った後に、YouTubeのURLを貼り付けてきた。
「ん? 君もやってるのかな?」
「そだよ。これは中学高校のときに友達とやってたYouTubeチャンネル」
「ほうほう」
私は彼が貼ったリンクをタップし、YouTubeチャンネルを開き、動画を見てみる。
動画は中古屋や通販で買ったものを開封するものがほとんど。たまに自転車でどこか遠くへ出かけたり、お花見をしたりといった感じだ。動画を見た感想としては、どこか少年らしい素朴で純粋なものを感じられた。
動画を見たとき、私は少年らしい素朴で純粋なものに惹かれた。
特に頭を使わずに見ていられるし、見ているこちらも何となく楽しい気持ちになってくる。
(ここまで面白い動画を作っているのには、何か秘訣があるかもしれない)
そう考えた私は、だいぶ後になってから、
「筋書きの書かれた台本があったり、企画会議や打ち合わせがあったりしたのか?」
と件の後輩に聞いてみた。
後輩は、その場のノリで撮影していた、と答えてくれた。
それでも、あそこまで面白い動画を撮れるのはすごいなと私は思った。
私の動画は、章立て、台本またはメモの音読、画像や画質の編集、字幕入れ、情報収集とやることが多い。そのためか、同じ1分の動画を作るにしてもだいぶ時間がかかる。それに私は、話すことが得意ではない性分なので、事前に筋書きを作り、できたメモをそのまま音読している。だから、肉声であっても、どこか機械的な感じがすると自分ながらによく思う。
対して後輩たちが作っていた動画は、構成面ではそこまでではない。だが、楽しさや面白さ、そして何より等身大の純粋な少年が、私の目の前にいるかのような印象を感じた。これが動画を見たときに感じた、「少年らしい素朴で純粋なもの」の正体だったのだろうか。
(これは負けた。降参だ)
後輩たちの作った動画を見たとき、私は心の中で白旗を振った。
どんなに楽しくなるであろう筋書きを組み立てても、「無邪気な楽しさ」には勝てない。そう悟ってしまったからだ。
やはり、見せかけよりも「ありのまま」の方が強いものだ。
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