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【エッセイ】茨城遠征(後編)─霞ヶ浦と土浦城─(『佐竹健のYouTube奮闘記(20)』)─

 常磐線の土浦駅の改札口を降りたあと、私は霞ヶ浦へと向かった。

 霞ヶ浦へ向かった理由としては、フォロワーさんが、

「霞ヶ浦の近辺は気持ちがいい」

 と話していたので、行ってみることにしたのだ。

 土浦駅東口を出て少し歩くと、小さな港があった。

 小さな港には、いくつもの船舶が所狭しと停めてある。

 遊歩道があったので歩いてみた。

 しばらく歩いていくと、巨大な湖が見えた。これが、霞ヶ浦だ。

 霞ヶ浦は茨城県にある湖。西浦、北浦、外逆波浦の三つの湖で構成されていて、広さに関しては日本第二位の面積を誇っている。ちなみに一位は滋賀県の琵琶湖である。

 成り立ちについては、太古の昔はもとは海だったのだが、海の水位の上下降によって今の形の原型が出来上がった。そして、徳川家康が利根川の流れを変えたことにより、大量の土砂が流れ込み、海との接点がほぼ失われた。このときに今の霞ヶ浦が出来上がった。

(ってか、めっちゃ広くない?)

 私は霞ヶ浦の広さに度肝を抜かれた。湖の先まで行ってみたい。けれども、どこまでも続いていて、歩き続けたら帰れなくなりそう。

 ずっと、見ていたかった。けれども、本来の目的は土浦城へ行くこと。私は諦めて、霞ヶ浦を眺めながら昼食を食べることにした。


 昼食を食べた。土浦城へ行くべく、再び土浦駅へと引き返そうとしていた。

 そのときに、二つの頭が突き出したきれいな山を見かけた。

(この山、なんて言う山なんだろう)

 電車の中にいたときからよく見ていた山について、私は考えた。

 大きくて形がきれいな山だから、きっと名のある山に違いない。そう思って私はスマホで写真を撮り、この山について聞いてみた。

 すると、フォロワーさん3人が、

「筑波山」

 と答えてくれた。

(そうだったのか)

 私は納得した。あれが筑波山か。

「筑波山」

 名前だけなら聞いたことがある。茨城県にあるということ、霊峰であることも。ただ、板橋と戸田にある荒川の堤防から見える富士山とは違って見えないので、見るのは初めてだ。

(それにしても、きれいな形してるな)

 山の稜線はきれいなカーブを描き、天に届こうとしている。だが、てっぺんで2つに割れているのが、形の定まっていない自然の美を体現している。

 ポケットからカメラを取り出した私は、写真を撮った。そして、再びカメラをポケットにしまい、土浦駅へと向かった。


 土浦駅の前の停留所からバスに乗り、亀城公園前で降りた。

「亀城」

 これが、土浦城である。

 土浦城が亀城と呼ばれている理由は、昔堀がたくさんあって、本丸が水に浮かぶ亀に似ていたからだと言われている(諸説あるが)。ちなみに現在その堀は、市街地化により、埋め立てられたり地下を流れたりしているので、ほとんど残っていない。

 バス停の前には堀があった。その脇に植えられた柳の葉が、爽やかな風に吹かれ、揺れていた。もう夏なんだ。

 少し歩くと、櫓が見えてきた。これが、土浦城のシンボルである。

 門をくぐって、中へ入った。

 中には何もない。あるとすれば、青葉の繁る桜の木と土塁、そして櫓と門のみだ。

 門の脇には、先ほど見た櫓があった。

 櫓の入り口前に「開館」と書かれた看板があった。

 気になった私は、入ってみることにした。

 櫓の中についてだが、一階は小さな資料館になっていた。素のままの柱や梁の中に、歴代城主の名前や城の歴史について書かれたもの、瓦が展示されていた。

 急な階段を登って二階へと向かった。

 二階は展望台のようになっていた。素のままの柱が組まれているところが、あくまで物見をしたりするためのものであることを物語っている。

 窓の向こうからは、土浦の街並みが見える。土浦の街並みは、東京のそれとは違い、余計なものが無いから目に優しい。

 この後は城の敷地内にあった菖蒲田を眺めたり、本丸周辺の堀などを眺めて時間を潰した。


   ※


「もっといろんなものを見てみたいな」

 東京に向かう帰りの電車の中で、私はそんなことを思った。

 北区、板橋区、豊島区、新宿区、文京区、千代田区、台東区、江東区。都内だとこの8区、都外だと、埼玉県の戸田市や和光市の2市で生きている。通過やたまに寄る区や市も含めるなら、練馬区や足立区、荒川区、墨田区、中央区、葛飾区、蕨市、川口市、さいたま市なども入ってくるだろう。私の生きている世界は、とても狭いのだ。だから、たまにどこか遠い場所へ行きたくなる。

 たまにどこかへ行くけれど、大体見るのは大体似たような光景ばかりだ。大体は東京の延長線にある住宅街だったり、ところどころに畑のある中途半端な田舎だったり。けれども、今回一歩を踏み出して茨城へと行ってみたら、きれいなものをたくさん見れた。普段の生活している場所では味わえない経験もたくさんできた。

「もういっそ、関東各地を巡ってみようかな」

 そうしたら、何か面白いことがありそうな気がする。でも、目的が無ければ何も面白くない。どうしようかな。

  旅の目的について考えているうちに、電車は取手、松戸、北千住と進んでいき、日暮里へと着いていた。


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佐竹健
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