カフェイン、とりすぎです。

あの黒い汁を飲み干すと、カッと目が冴えわたって、原稿がめきめきとすすむような気がするから、空中をつかみ、すがるように、じゃぶじゃぶと浴びるように求めしまう。少し前までの私はきわめて危険な存在でした。

あのう、ローソンのメガサイズのアイスコーヒーってご存知ですかね。

めちゃくちゃでかいんです。海外のファーストフードのお店でのみものを買うと、日本ででくわすコップの倍くらいありそうな、おばけみたいなやつが出てくるんですが、わりあいそれに近い。つまりおばけです。

おばけを利き手ではない左手をぷるぷるさせながら握りしめて帰路につき、仕事の合間に飲み干すのが、少し前までの私のルーティンでした。

ですが先日、歓楽街の奥地にある、昭和色をしたビルのなかで、つるつるした睡眠外来の先生につつみ隠さず伝えたところ、

「カフェイン、とりすぎです。」

と言われてしまいました。深夜に目が覚めると朝方まで目が冴えてしまうのも、眠りが浅い気がしてしまうのも、ときどき悪夢をみることすら、きっと原因はカフェインでしょうと、ビスケットみたいにさっくりした声でさっくりと言われたのです。

てっきり、栄養とか、加齢とか、ストレスとかのせいで眠りにくくなっているのだろうとふんでいた私は拍子抜けして、へええええええ、と心のなかで口を半開きにしました。っていうか、悪夢もかよ。大雨が降ると思っていたから、傘を持ってでかけたのだけど、雨はぜんぜん降りませんでした。

以後はうまれかわったかのように、Sサイズのかわいいやつが、もっぱらの相棒です。スタバでは本日のコーヒーじゃないメニューを頼んで、なにを頼んだのかを忘れてしまいました。でも、あきらかにいま、私はあのころよりも悪夢を見ることなく、夜から朝までぶっとおしで眠れる日が爆増しています。

……カフェインって、そんなに？

おばけと距離を置いてから、はや2週間がたち、心なしか体調までよくなってきていることに、「まじかよー」「そんなにかよー」と独り言をあびせながら、けらけら笑ってしまいます。

コーヒーって1日にカップ4〜5杯くらいまでは飲んでいいんだろうと、つまり200ml×5杯＝1リットルOKでしょうっていう、ソースはどこなのか、そもそもあるのかないのかすらわからない謎理論で戦ってきた私の完全な敗北です。

完全な敗北ったらもう、すがすがしいですね。

体内に入れるものひとつで、わりと簡単に変わってしまいました。

追記：文体、もっと気分にあわせて変えていこうぜって気分になり、なんとなく久しぶりに「です」「ます」で書いてみたら、それにつられて書く内容も予期せぬ終着点に向かいはじめたので、おもしろかったです。お盆もはたらいています。