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『スメラミシング』

やふぅー٩( 'ω' )و
今回は、読んだ本の感想を書きます。

小川哲著 『スメラミシング』 (河出書房新社 、2024)

積読消化、本腰入れますよー。
と、読書をしてもなかなか記事を書くにはいたらない…



短編集が続くが、一貫しているのは科学と信仰、そして陰謀論。

各話のタイトル

七十人の翻訳者たち
密林の殯
スメラミシング
神についての方程式
啓蒙の光が、すべての幻を祓う日まで
ちょっとした奇跡


感想(短編)

七十人の翻訳者たち
聖書をギリシャ語に翻訳にする際に携わっていた当時の人々と、現代の学者たちが解釈する七十人訳聖書の物語。
過去と未来を行き来しながら読み、過去と現在の人に共通する「明確な答え」を求める人々の話が面白い。

密林の殯
あいつやべーよな
そういうお前がやべーな
いや、自分がおかしいんかな?

この話だけ、もう少し続きを読みたい!!と思った。
上司、どうなるんだ…

スメラミシング
これは正直、最後まで読んで「え?マジ?」となった。
誰が誰だか分からなくなる。
それはともかく、1番現代社会を分かりやすく書いた陰謀論の話だと思った。
表現し難い、気持ち悪い感じを読書を通じて経験する。


啓蒙の光が、すべての幻を祓う日まで
啓蒙の光かあ、と読みながら思った。
それがどうこうではなく、話自体はもちろん面白い。

各自の言い分で、神の存在を弁証しながら進むこの話。
「偶然」と「必然」、そして「確率」を前提とし、神の存在を弁証していく。
「存在する」ことも、「存在しない」ことも理性によって、完全には証明しきれない。
数学的な視点から、神の存在証明をしていく考え自体が面白い着眼点だと思う。それだけでなく、物語なっているんだから、やっぱりすごいよなあ、と思いながら読んでいた。

理性、私たちがそれぞれ頭の中で考えることによって、様々なことを説明しきれると思うと、ある一定のラインを超えられない。

「啓蒙の光が、すべての幻を祓うまで」
これもまた、頭の中の話であるわけだが面白い。


まとめ

本書を読んだのは1月の最初だったのに、記事を書くには至らないまま、
2月になってしまった。

とにかく私は、小川哲先生の本が好きでたまらない。
話も面白いがその世界観や、主観的に進む物語。
なんといっても、主人公格の思考過程を、読者が覗き込むことが出来るのも魅力だ。
上記感想には書かなかったが、数学や物理で神を証明しようとすることも面白い。
それだけでなく、ゼロ概念だ。
年末年始、私は個人的なことでゼロ概念にめちゃくちゃ悩まされていたのもあって。

全ての人々には、ある程度認知バイアスがかかっている。
どこからかなのかと疑い出せば、途端に何も出来なくなってしまう。

陰謀論であるとか、この本の紹介に書かれていたような「世界を壊す」というような思想。それらについては、ノーコメントとするが、1つ持論を書いて終わりにしようと思う。

神という言葉の出てくる本書だが、信じるか信じないか、何を信じているのかはさておき。
猜疑心は人を静的にし、最悪の場合は死に至らしめるだろうというのが持論だ。
例えば、私たちは外出すれば信号を目にする。
青で渡れと言われたけれど、それが本当なのかと疑い出せば、私たちは動けなくなる。
これは食べられるのだろうか?飲めるだろうか?
この人と会話して良いのだろうか?
今日は、何か悪いことが起きるのではないか?

猜疑心とは、私たちに不安の芽を撒き、やがて静的なものへと変えてしまう、ある種の恐ろしい時が待っているのではないかと思う。
信じることも、間違えてしまうと、それは盲目的なものとなり、危険が伴うこともあるだろう。

陰謀論は、そこらじゅうにある。
情報の多い世界で、生きていくためには1度壊さないといけないのだろうか?
それは本当か?

本当に面白い本でした。
おすすめします。
ちなみに、表紙がオシャレで個人的に飾りたい本でもある。

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kai@宇宙🚀note2022〜
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