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日本の半導体産業、復活のシナリオとは!?①
テレ東の放送をまとめたものです。出演者はこちら。
・豊島晋作さん(テレビ東京)
・湯之上隆さん(微細加工研究所)
・パックン(パトリック・ハーランさん。投資家)
豊島:かつて半導体で世界一をとり、アメリカを恐れさせた日本。なぜ今、日本の半導体は落ち込んでしまったのでしょうか?
湯之上:1980年代、日本はDRAM(ディーラム)というメモリで世界シェア80%をとっていた。そのほとんどが、銀行のシステムを動かすような大型コンピュータ「メインフレーム」専用のDRAMでした。
湯之上:なぜこれほどの世界シェアをとれたかというと、異常なまでに高品質だったからです。
発注元であるIBMなどのテクノロジー企業は、日本のDRAMメーカーに「一切、壊れないものを」と注文しました。当然ですよね、銀行のシステムに使うんですから、間違えたら大変です。しかも「25年間、誤動作しないものを作れ」といってきたんです。
それを、日本は本当に作っちゃった(笑)トヨタ用語でいうカイゼンの積み上げで、絶対に誤動作しないDARMを作り上げたのです。この品質が評価され、アメリカを追い抜いて世界チャンピオンになりました。
しかし栄華はいつまでも続きません。やがて大きくて使いにくいメインフレーム時代は終わりを告げ、手軽なパソコンの時代に移ります。そこで伸びてきたのが、韓国のサムスンです。
日本が作るメインフレーム用のDRAMは1個数十万円しましたが、パソコンにそんな高価なものを載せたら、本体価格を超えてしまいます。だからサムスンは数百円のDRAMを大量生産しました。
もちろんこの状況を、日本のDRAMメーカーが知らなかったわけじゃない。誰もがマズイとわかっていました。にも関わらず、25年保証の高価なDRAMを作り続けた。
パックン:なぜですか?
湯之上:高品質のDRAMを作る文化が、開発センターにも工場にも染み付いていて、それが正義だったからです。だってそのおかげで一度は世界チャンピオンになれたから。今さら変えることなんてできません。
パックン:お手頃なDARMを作ろうというスタートアップは現れなかった?
湯之上:半導体の工場を1つ作るのに、1000〜2000億かかるので、スタートアップには手が届かないんです。こう言うのを「イノベーションのジレンマ」と言うんですよね。高みを登っちゃうと、下に行くことができない。
パックン:まぁ主力商品を犠牲にするまでイノベーションに力をかけるか?と聞い手も、ほとんどの人はしないと答えるでしょうね。
豊島:テレビ業界も近いかも。ネットの時代が来てるのは、テレビマン全員がわかっている。「でも今夜のオンエアがあるから・・・」って見ないふりしてる。
パックン:僕はイノベーターだからね。本当はテレビの連ドラのオファーが沢山あったけど、蹴って、このYouTube番組に出てますよ(笑)
湯之上:本当?(笑) ともかく、日本のDRAMは過剰品質がアダとなり、ほとんどの会社が撤退することになってしまいました。
そして次は「ロジック半導体」、パソコンでいう演算するところですね、それで勝負することにしたんです。