マガジンのカバー画像

「思想・哲学」関連書のレビュー

887
「思想」「哲学」関連のレビューを紹介します。
運営しているクリエイター

#書評note

フィリップ・K・ディックの 〈信仰と懐疑〉 : マーク・ハースト編 『ザ・ベスト・オ…

書評:マーク・ハースト編『ザ・ベスト・オブ・P・K・ディック〈3〉』(サンリオSF文庫) …

12

樋口毅宏 『中野正彦の昭和九十二年』 : 〈偽史〉の精神誌

書評:樋口毅宏『中野正彦の昭和九十二年』(イースト・プレス) いよいよ、噂の「回収」本、…

12

晴佐久昌英 『福音宣言』 : 権威主義者の保証する 〈愛〉

書評:晴佐久昌英『福音宣言』(オリエンス宗教研究所) ヤグザや半グレ、タチの悪いヤンキー…

20

井上光晴 『ガダルカナル戦詩集』 : その否定性と自己正当化

書評:井上光晴『新編 ガダルカナル戦詩集』(朝日文庫) 井上光晴についてのドキュメンタリ…

16

にゃるら 『僕は にゃるらになってしまった ~病みのインターネット~』 : やっぱり、…

書評:にゃるら『僕はにゃるらになってしまった ~病みのインターネット~』(角川書店) そん…

20

小川楽喜 『標本作家』 : 〈夢〉の小説 への憧憬

書評:小川楽喜『標本作家』(早川書房) SF版「小説家小説」である。 普通の「小説家小説」…

22

『柄谷行人対話篇 1 1970-83』 : 優等生では ダメである。

書評:柄谷行人『柄谷行人対話篇1 1970-83』(講談社文芸文庫) 現時点で既刊2巻までの講談社文芸文庫『柄谷行人対話篇』を、私は、第2巻の『柄谷行人対話篇2 1984―88』の方を先に読んでしまったのだけれど、個人的には、今回読んだ第1巻の方が、対談相手にも馴染みがあるし、内容的にも面白かった。 第3巻も近々発売されるようなので、とても楽しみである(大西巨人との対談も、収録されているだろうか?)。 本書第1巻の親本は、第三文明社刊行の単行本『ダイアローグ』(全5巻)の

鈴木大介 『ネット右翼になった父』 : 「客観中立」という 初歩的な幻想

書評:鈴木大介『ネット右翼になった父』(講談社現代新書) 亡父が、最晩年には「ネット右翼…

25

石黒達昌 『冬至草』 : 零れ落ちたものへの想い

書評:石黒達昌『冬至草』(早川書房) 石黒達昌は、好きな作家の一人だ。 作家業からは実質…

19

樋口毅宏 『さらば雑司ヶ谷』 : 「汚れっちまった悲しみ」のナルシシズム

書評:樋口毅宏『さらば雑司ヶ谷』(新潮文庫) 最初に、小説としての出来について書いておこ…

11

諸星大二郎 『孔子暗黒伝』 : 異形なる世界へのロマン

書評:諸星大二郎『孔子暗黒伝』(集英社) 本作『孔子暗黒伝』は、諸星大二郎の初期傑作とし…

20

沼田和也 『牧師、 閉鎖病棟に入る。』 : 承認欲求と 自己劇化の罠

書評:沼田和也『牧師、閉鎖病棟に入る。』(実業之日本社) 著者の沼田和也氏については、ず…

14

谷崎潤一郎 『陰翳礼讃・ 文章読本』 : 美しい国の「美しい文章」へ

書評:谷崎潤一郎『陰翳礼讃・文章読本』(新潮文庫) 今回、本書を読んだのは、前々から「陰…

17

樋口毅宏 『タモリ論』 : 信仰を欲する、無神論者の屈折

書評:樋口毅宏『タモリ論』(新潮新書) タモリには興味がない。そんな私が本書を読んだのは、もっぱら、著者の樋口毅宏に興味をもったからだ。 小説家である樋口毅宏の最近刊『中野正彦の昭和九十二年』が、今どき珍しくも「回収」されてしまった。この作家は、実在の人物や実際の事件を作中に取り込むことで、一種独特の「奇妙なリアリティ」を持つ作品を書くようなのだが、この小説に中では、昨年(2022年)7月に発生した、「安倍晋三元首相殺害事件」を「予言する」かのような内容が含まれていたらし