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「思想・哲学」関連書のレビュー

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「思想」「哲学」関連のレビューを紹介します。
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#宗教

ロラン・バルト 『神話作用』 : 「神話」とは、肯定的に思える〈まやかし〉

書評:ロラン・バルト『神話作用』(現代思潮新社) かつて「難解」の代名詞でもあった、フラ…

年間読書人
1か月前
22

古泉迦十『崑崙奴』:幻想的な権威の限界

書評:古泉迦十『崑崙奴』(星海社フィクション) 結論からいうと、期待はずれだった。 本書…

年間読書人
1か月前
12

円城塔 『コード・ブッダ 機械仏教史縁起』 : ブッダと 女人成仏と トランスジェン…

書評:円城塔『コード・ブッダ 機械仏教史縁起』(文藝春秋) 今年読んだ本では、一番面白か…

年間読書人
1か月前
19

ステファン・テメルソン 『缶詰サーディンの謎』 : どちらが「本物」なのか?

書評:ステファン・テメルソン『缶詰サーディンの謎』(国書刊行会・ドーキー・アーカイブ8)…

年間読書人
2か月前
19

『LGBT異論 キャンセル・カルチャー、トランスジェンダー論争、巨大利権の行方』 : …

書評:女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会編『LGBT異論 キャンセル・カルチャー、トラン…

年間読書人
3か月前
29

斉藤佳苗 『LGBT問題を考える 基礎知識から海外情勢まで』 : うんざりだ。

書評:斉藤佳苗『LGBT問題を考える 基礎知識から海外情勢まで』(鹿砦社) まずは、タイトル…

年間読書人
3か月前
35

小川哲 『スメラミシング』 : これは私たち自身の戯画である。

書評:小川哲『スメラミシング』(河出書房新社) 本書は、「宗教」をテーマにした短編集だが、最後の「ちょっとした奇跡」のみは、「奇跡」と題されてはいるものの、「宗教もの」ではない。 収録作品は、次のとおりである。 本書の帯を見てみると、『陰謀論』『サイコサスペンス』『京極夏彦』『弩級』という言葉が目につくのだが、ここでポイントとなるのは、もちろん『陰謀論』である。後の三つは「凡庸な惹句」に過ぎないからだ。 しかし、ここで注意すべきは、なぜ『陰謀論』であって「宗教」ではない

マフムード・ダルウィーシュ 『パレスチナ詩集』 : 届かない声

書評:マフムード・ダルウィーシュ『パレスチナ詩集』(ちくま文庫) 詩歌オンチを自認してい…

年間読書人
4か月前
24

フィリップ・K・ディック 『宇宙の眼』『虚空の眼』 : ミズ北村紗衣のキャンセル宇…

書評:フィリップ・K・ディック『宇宙の眼』『虚空の眼』(ハヤカワ文庫・創元SF文庫・サン…

年間読書人
4か月前
38

イングマール・ベルイマン監督 『第七の封印』 : 難解ではない。人間を描いただけで…

映画評:イングマール・ベルイマン監督『第七の封印』(1957年・スウェーデン映画) ベルイマ…

年間読書人
5か月前
17

ロベルト・ロッセリーニ監督 『戦火のかなた』 : 「戦争の悲しみ」を描く 6つの物語

映画評:ロベルト・ロッセリーニ監督『戦火のかなた』(1946年・イタリア映画) すでにレビュ…

年間読書人
5か月前
11

カール・テオドア・ドライヤー監督 『裁かるるジャンヌ』 : 「神と戦う」映画作家

映画評:カール・テオドア・ドライヤー監督『裁かるるジャンヌ』(1928年・フランス映画) こ…

年間読書人
6か月前
16

ジョルジョ・アガンベン 『瀆神』 : 「瀆神」と「瀆聖」の違い

書評:ジョルジョ・アガンベン『瀆神』(月曜社) 難解な書物である。哲学書なのだから、それ…

年間読書人
9か月前
12

マルコ・ベロッキオ監督 『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』 : 何が「元凶」なのか?

映画評:マルコ・ベロッキオ監督『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』(2023年、イタリア・フランス・ドイツ合作) 本作は、実話である「エドガルド・モルターラ誘拐事件」をもとにして作られた映画であり、特定の原作があるわけではない。同事件に関するヴェットリオ・メッサーリの著作(未訳)を読んだ、マルコ・ベロッキオ監督が、この歴史的な事件に興味を持ち、自分でもいろいろ調べて書き上げたオリジナル脚本を映画にしたのが本作なのだ。 本作の宣伝文句にもあるとおり、ベロッキオと