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「思想・哲学」関連書のレビュー

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「思想」「哲学」関連のレビューを紹介します。
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#文学

サマンタ・シュウェブリン 『救出の距離』 : 「超自然」を超える「日常に潜むもの」

書評:サマンタ・シュウェブリン『救出の距離』(国書刊行会) どう紹介すればいいのか、なか…

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富士正晴 『新編 不参加ぐらし』 : 言い訳がましい。

書評:富士正晴(著)、荻原魚雷(編)『新編 不参加ぐらし』(中公文庫) このところ、荻原…

年間読書人
3週間前
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小川哲 『スメラミシング』 : これは私たち自身の戯画である。

書評:小川哲『スメラミシング』(河出書房新社) 本書は、「宗教」をテーマにした短編集だが…

年間読書人
1か月前
25

マフムード・ダルウィーシュ 『パレスチナ詩集』 : 届かない声

書評:マフムード・ダルウィーシュ『パレスチナ詩集』(ちくま文庫) 詩歌オンチを自認してい…

年間読書人
1か月前
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北村紗衣 『シェイクスピア劇を楽しんだ女性たち』 : シェイクスピアの研究書ではな…

書評:北村紗衣『シェイクスピア劇を楽しんだ女性たち 近世の観劇と読書』(白水社) 「武蔵…

年間読書人
1か月前
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マーク・トウェイン 『トム・ソーヤーの冒険』 : 「差別者」とは誰か?

書評:マーク・トウェイン『トム・ソーヤーの冒険』(土屋京子訳・光文社古典新訳文庫) 私の…

年間読書人
1か月前
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尾崎一雄 『新編 閑な老人』 : 「文士」の志操

書評:尾崎一雄(著)・荻原魚雷(編)『新編 閑な老人』(中公文庫) 10年以上も前だろうか、よく立ち寄っていた文芸書に強い古本屋の主人と雑談していて、私が主人に「どんな作家が好きですか?」と尋ねたことがある。 古本屋の主人と言っても、その人はたしか二代目で、私よりも十も若かったと思う。 私がどういう作家を好きなのかは、無論、その主人は知っていた。なぜなら、同じような本ばかり買うからだ。 簡単に言えば、澁澤龍彦・中井英夫系の幻想文学系の作家ということになるだろうか。読む本は

マーク・トウェイン 『ハックルベリー・フィンの冒険』 : ハック的な「良心」を取り…

書評:マーク・トウェイン『ハックルベリー・フィンの冒険』(全2巻・光文社古典新訳文庫) …

年間読書人
2か月前
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川野芽生 『無垢なる花たちのためのユートピア』 : 個人の尊厳と 種の滅亡

書評:川野芽生『無垢なる花たちのためのユートピア』(東京創元社) 2021年刊行の第1歌集『…

年間読書人
3か月前
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中井亜佐子 『エドワード・サイード ある批評家の残響』 : vs蓮實重彦 ・何のための…

書評:中井亜佐子『エドワード・サイード ある批評家の残響』(書肆侃侃房) アマチュアなが…

年間読書人
3か月前
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梅崎春生 『怠惰の美徳』 : 怠惰とは、悟りの境地である。

書評:荻原魚雷編・梅崎春生『怠惰の美徳』(中公文庫) 梅崎春生を読むのは、これが初めてだ…

年間読書人
3か月前
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佐多稲子 『キャラメル工場から』 : 「獅子身中の虫」にも五分の魂

書評:佐久間文子編『佐多稲子傑作短編集 キャラメル工場から』(ちくま文庫) 佐多稲子は、…

年間読書人
3か月前
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スーザン・ソンタグ 『ラディカルな意志のスタイルズ』 : 徹底的なものが面白い

書評:スーザン・ソンタグ『ラディカルな意志のスタイルズ[完全版]』(河出書房新社) 1974…

年間読書人
3か月前
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大谷弘 『道徳的に考えるとはどういうことか』 : 文学的には 「普通」はそう考える。

書評:大谷弘『道徳的に考えるとはどういうことか』(ちくま新書) 本書がどういう内容の本かというと、それはまさにタイトルどおりで、「道徳的に考えるとはどういうことか」ということを、現実に即して考えようとしたものである。 つまり、どこかに「道徳」という規範的な「正解」のようなものがあって、それに沿って(規則的に)考えるのが「道徳的に考える」ということなのではない、「そんな単純なことではない」し「そんなことで済まされるほど薄っぺらい話(問題)ではない」というようなことを、哲学研