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「思想・哲学」関連書のレビュー

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「思想」「哲学」関連のレビューを紹介します。
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#文学

ヘルベルト・ローゼンドルファー 『廃墟建築家』 : ゴシックではなくバロック

書評:ヘルベルト・ローゼンドルファー『廃墟建築家』(国書刊行会) よそなら絶対出さないよ…

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宮内悠介 『暗号の子』 : つながるテクノロジーの快楽と不快

書評:宮内悠介『暗号の子』(講談社) 本書はテクノロジーによって変容していく、私たちの世…

年間読書人
10日前
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ちをかくしか北村紗衣と 九段理江の『しをかくうま』

書評:九段理江『しをかくうま』(文藝春秋) 2024年に『東京都同情塔』で、第170回芥川賞受…

年間読書人
3週間前
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円城塔 『コード・ブッダ 機械仏教史縁起』 : ブッダと 女人成仏と トランスジェン…

書評:円城塔『コード・ブッダ 機械仏教史縁起』(文藝春秋) 今年読んだ本では、一番面白か…

年間読書人
1か月前
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ステファン・テメルソン 『缶詰サーディンの謎』 : どちらが「本物」なのか?

書評:ステファン・テメルソン『缶詰サーディンの謎』(国書刊行会・ドーキー・アーカイブ8)…

年間読書人
2か月前
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笙野頼子『発禁小説集』 vs 杉田俊介『対抗言論』Vol.3 : 馬鹿と阿呆のからみ合い

書評:笙野頼子『発禁小説集』(鳥影社)、杉田俊介編著『対抗言論』Vol.3(法政大学出版局) …

年間読書人
2か月前
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サマンタ・シュウェブリン 『救出の距離』 : 「超自然」を超える「日常に潜むもの」

書評:サマンタ・シュウェブリン『救出の距離』(国書刊行会) どう紹介すればいいのか、なかなか悩ましい作品である。いい作品であるのは間違いないのだが、当たり前のエンタティンメント小説ではないから、それを期待して読むと、きっと裏切られることになる。かと言って、いわゆる「純文学」的な作品ではない。形式としては「幻想小説系ホラー」とでも呼ぶべき作品なのだ。 そうした「内容」を扱いながら、「筆法(書き方)」は極めて「文学的」なのである。しかも、その筆力は確かだから、作者が文学の世界

富士正晴 『新編 不参加ぐらし』 : 言い訳がましい。

書評:富士正晴(著)、荻原魚雷(編)『新編 不参加ぐらし』(中公文庫) このところ、荻原…

年間読書人
3か月前
24

小川哲 『スメラミシング』 : これは私たち自身の戯画である。

書評:小川哲『スメラミシング』(河出書房新社) 本書は、「宗教」をテーマにした短編集だが…

年間読書人
4か月前
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マフムード・ダルウィーシュ 『パレスチナ詩集』 : 届かない声

書評:マフムード・ダルウィーシュ『パレスチナ詩集』(ちくま文庫) 詩歌オンチを自認してい…

年間読書人
4か月前
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北村紗衣 『シェイクスピア劇を楽しんだ女性たち』 : シェイクスピアの研究書ではな…

書評:北村紗衣『シェイクスピア劇を楽しんだ女性たち 近世の観劇と読書』(白水社) 「武蔵…

年間読書人
4か月前
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マーク・トウェイン 『トム・ソーヤーの冒険』 : 「差別者」とは誰か?

書評:マーク・トウェイン『トム・ソーヤーの冒険』(土屋京子訳・光文社古典新訳文庫) 私の…

年間読書人
4か月前
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尾崎一雄 『新編 閑な老人』 : 「文士」の志操

書評:尾崎一雄(著)・荻原魚雷(編)『新編 閑な老人』(中公文庫) 10年以上も前だろうか、よ…

年間読書人
4か月前
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マーク・トウェイン 『ハックルベリー・フィンの冒険』 : ハック的な「良心」を取り戻せ!

書評:マーク・トウェイン『ハックルベリー・フィンの冒険』(全2巻・光文社古典新訳文庫) 今頃になって、児童文学の名作中の名作『ハックルベリー・フィンの冒険』(以下『ハックルベリー』と略記)を読んだのは、先日読んだ、小塩真司著『「性格が悪い」とはどういうことか ダークサイドの心理学』(ちくま新書)に、本書が紹介されており、その部分にとても惹かれたからである。 このレビューでも紹介したとおりで、この本で検討にふされているのは、人間の心の「ダークサイド」の問題である。 つまり、