尾崎一雄 『新編 閑な老人』 : 「文士」の志操
書評:尾崎一雄(著)・荻原魚雷(編)『新編 閑な老人』(中公文庫)
10年以上も前だろうか、よく立ち寄っていた文芸書に強い古本屋の主人と雑談していて、私が主人に「どんな作家が好きですか?」と尋ねたことがある。
古本屋の主人と言っても、その人はたしか二代目で、私よりも十も若かったと思う。
私がどういう作家を好きなのかは、無論、その主人は知っていた。なぜなら、同じような本ばかり買うからだ。
簡単に言えば、澁澤龍彦・中井英夫系の幻想文学系の作家ということになるだろうか。読む本は