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入社初日にルッキズム


人生初の上場企業ライフがはじまり、さすがに初日はちょっとウキウキしました。一度くらいニュースに名前が出るような会社で場所で働いてみたかったんですよね。

でっかいチョコアイスバーみたいなビルの高層階へ。エントランスで顔認証登録をして社員スペースへ入ると、なんだか神に選ばれしものみたいな気分になりました。こっそり変顔をしたのに通れてしまったので、きっと精度が高いのでしょう。(もしくは低いか)

フロア中フリーアドレスで、みんな自由気ままにファッションを楽しんでいる様子。こんな絵に描いたような先進的オフィスが日本にあるんだ!と驚き、角を曲がれば、ひょいと高畑充希でも出てきそうな気すらしました。

そこから普通に8時間。書類を書いて、リモート用PCを受け取って、メールアドレスの設定をして。あとは会社の目指す姿を説明されたくらいなのに、なぜか死ぬほど疲れました。
転職慣れしても新しい環境はこういうものなのか、地上100メートルを超える空間特有の重力が働いているのかは分かりませんが……。


外が夕暮れに染まり、ふぅーと伸びをする僕。
気を抜いたその時、次なる試練・抜き打ち歓迎会が発表されました。

ここで(ああ大手でもこんな感じなんだ)と少し萎え。どんなエリート街道を突き進んでも、「人は初日帰りたい生き物」って心理は分からないもんなんしょうか?

それも、普通に
「あなたと仲良くなりたい教えて教えて!」
の会ならまだわかります。

でも、だいたいの会社が
「どうだい俺らこんなに仲良いんだぞ羨ましいだろう?」
のほうなんですよね。

繰り返される”いつものノリ”らしきものに愛想笑い筋がつりそうでした。

で、トドメは昨今話題のルッキズムです。
当たり前のように二次会に連れていかれ、満員電車のようなせませま居酒屋で部長(僕の左の人)が課長(僕の右の人)に言い放ったのです。

「コイツの嫁、ブスなんですよ」

!?!!?!?!?!?!?

突然のレトロハラスメントに驚きを隠せない僕。

部長はひと目品がよさそうで、若い頃のポール・マッカートニーみたいなやわらかフェイスなのでかなりの意外性がありました。言われた課長はというと、怒りもせずヘラヘラと笑っているだけ。

その後、目の前をスマホが何度も行き来しながら「ほらブスでしょ?」「やめてくださいよ!」「ほらこれもブス!」「いやそれは盛れてます!」と人妻のルックスをめぐる卓球みたいな作業が行われたのですが、当然僕にジャッジする権利はないのでひたすら困る時間でした。

僕は別にポリコレ警察じゃありませんが、
(おいおいコイツら大丈夫かよ……)
と上長2人には不信を抱き、とりあえずうちの妻の写真は絶対に見せないようにしようと誓った夜となりました。

その後部長が飛んだサイコ野郎とわかるんだけど、これは許してる方も男としてどうかしてますよ。腐ったポールにはイエスタデイきやがれ!と飛び膝蹴りを食らわすべき。


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