汽笛を鳴らして銀河の向こう側へ
予定より早すぎる時間に、目が覚めてしまった。まだ寝ていたかったのに、もう意識が冴えてしまっている。諦めて寝台を下り、廊下に出た。
窓を覆う水色のカーテンを開ければ、空に存在感を放つ星。明けの青星。地球だろう。音を出さないように慎重に、少しだけ窓を開ける。
ガタンガタン……
列車の走る音は、意外と静かだ。
早朝の涼しい風が吹きこんでくる。くっきりと輪郭を持った地球。
小さい頃、望遠鏡で天の川銀河を見た。ぼんやり見えた銀河に魅了された。宇宙には星の集団である銀河が数えきれないほど存在していて、しかも、それらの銀河は、とある1つの地点に惹きつけられているらしい。
グレートアトラクターと言われるその宇宙領域は、すでに数百の銀河を飲み込みかけている。
全ての銀河は消え去る運命なのだろうか?その後は、何が生まれるのだろうか?何も、生まれないのだろうか?寂しいけれど、清々するような無の宇宙を想像する。好ましい孤独な時間ができると、ついしてしまう。
ガタンガタン……
そろそろと眠くなってきた。もう少し寝よう。窓をまた慎重に閉める。カーテンを閉じる前に、煌めく地球をもう一度仰ぎ見る。やはり、美しかった。
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