【臨床生理】血液の「循環」を考える① 〜体内を巡ってみよう〜
まいど!ねこのてです!
前回あたりで血圧とか血流の話が出たので、それに付随して血液の「循環」の話を軽くしちゃおうと思いました!
「循環」を辞書で調べると、、「ひと回りして元にかえり、それを繰り返すこと」とありますね。体内における血液の循環はどんな感じでしょう。そしてそれらが障害されると、体にはどんな症状が出るでしょうか?いつものように、少し考えてみます!
いざ「循環」の旅へ!
血液になったつもりで想像して見ましょうか!
少し細かく行くので、簡単な体の地図を持ってください。太字の場所は大切ですので、意識して通過してくださいね!では左心室からスタートです!
心臓の左心室を出た血液は酸素が豊富で、細胞に栄養を届けるためのテンションMAX!大動脈弁(左心室と上行大動脈の間にある弁)を通過して、上行大動脈、胸部大動脈、腹部大動脈を通り全身に届けられます。動脈は徐々に先細りしていき、毛細血管レベルになると、臓器細胞に酸素や栄養が届けられますよね。細胞から二酸化炭素などの代謝物を受け取った血液は、毛細血管レベルから静脈に運ばれます。(※消化管からの静脈血は栄養分をたくさん含んでいますので、色々なものを加工する「工場」である肝臓に一度運ばれます。そのルートは特別なルートなので、この静脈系は特に「門脈」と呼ばれています。)
臓器レベルの静脈はやがて大きな大静脈に合流して、ポンプである心臓に帰っていきます。少し疲れているからか、動脈ほどの勢いは感じられません。心臓に入った血液がまず通過する部屋は右心房です。そして、三尖弁(右心房と右心室の間にある弁)を通過し、右心室に入ります。右心室から肺動脈弁(右心室と肺動脈の間にある弁)を通過した血液は、肺動脈から肺に届けられます。
肺(肺胞)ではガス交換が行われます。各細胞から受け取った二酸化炭素を手放して、また酸素をもらいます・・・またテンションが上がってきました!
この状態の血液は、肺から肺静脈を通って心臓の左心房に入ります。左心房にいる血液は、僧帽弁(左心房と左心室の間にある弁)を通過し、スタート地点である左心室に戻ります。
一周しましたね。おかえりなさい!この旅路が「循環」です。
テンションの高かった左心房〜動脈までの周回コースを「左心系」、テンションがやや下がった静脈から肺動脈までのコースを「右心系」と言います。循環を考えるときにこの区別が大切なので、以降しっかり周回コースを区別してください!
循環の破綻
この循環が破綻してしまった場合、原因として考えられるものはなんでしょうか。心臓に限りませんよね。周回コースに関わるあらゆる要素(黒字のトコです)の故障が循環破綻の原因として考えられます。
例をいくつか出します。
【弁が壊れた場合】
血液を先に送りたいのに、逆流してしまいますから循環はうまくいきません。
【臓器が傷ついてしまった場合】
事故などで臓器が傷つくと、当然出血します。本来循環するはずの血液が漏れ出るので、循環は破綻しますよね。
【何かの拍子で、毛細血管が広がってしまった】
血圧が下がっている状態ですので、血の巡りは滞りますね。
みたいな感じで、循環が破綻する原因は多岐にわたるのです。そして、この破綻が左心系なのか、右心系なのかで症状は変わります。
循環器内科の先生達は、この循環の専門家集団です!
循環が破綻した症状を診察して、その原因を探って必要があれば治療(介入)をしてくれます。しかし、いくら専門家と言っても、ただ患者さんの診察をしただけでは「原因は多分ここかな・・?」ってことが限度でして、他の検査なしに確実な判断はできません。
その先生達がご自身の判断を確実にするために、心電図やカテーテルを用いた造影検査、心臓CTなどの検査があるんですね。
ってな訳で、今回は循環の不全を考える布石の記事になります。
次回は左心系、右心系の破綻がどのような症状になるかを見ていきます!どもでした!