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地球の裏側で誰かが【詩】
地球の裏側で誰かが悲劇的な死を遂げる。
滝壺へと落ちていく姿が目に浮かぶ。
今日は嵐のような雨だからそんなことを想像するのかもしれない。
数え切れない人が死んでいるこの地球にこうして僕は今を生きている。話したこともない誰かの人生を想像している。そうして涙を堪えている。自分に何も関係のないことに感動していたりする。
テレビがチカチカと光って雨模様の部屋の中を動いている。映像の中にあの日の面影を重ねてありえたかもしれないありえない未来に浸っている。
みんなが集まって輝くものを作っているように見えて羨ましくなる。
嫉妬と勇気のなさとかわいい自分に溺れて動けないから、こうして雨の日に部屋の中でなんでもない風に過ごしている。誰かが扉を叩いてくれるはずもないのに、何を待っているのか。
死が重なって誰かの方に降り注ぐ。
暖かい部屋でそれを眺めていて、何も感じないなんておかしいな。大切なものを失ったのは僕の方かもしれない。
「大声で叫べ!」と後ろの方から声がする。
気持ちと反対側の曲を聞けば均衡が取れて、
おかしな世界をなんとなく生きていける。
なんにも楽しくないのに踊っている。
耳を塞いで踊り狂う。
何も聞こえないことがこんなに自由なんて信じられない。生まれて初めて生きているような気持ちになる。
現実なんてあってないようなもんだと笑う。
ドラマーになった気分で机を叩いて過ごす日曜日が暮れていく。
笑うなら笑えばいいさ僕のこと。むしろ笑って欲しいのかもしれない。無視しないでって言えばいいのに。
だけど結局どうでもいいんだこんな日常。
やりたいことなんてないけれど、やりたくないことは明確に沢山あるから仕方ない。
「ほら足が止まってる!踊れ!」
とまた声がする。
もうどうでもいいから雨の中、
走り去る車に飛び乗って踊っている。
食べて寝て、生きる。それだけの人生をどう生きるかって考えるだけ無駄なんだ。だって死ぬ勇気なんかどこを探したって見つからない。
だったら耳を塞いで目を閉じて行けるところまで歌いながら生きるだけ。目的も意味も夢もなく、ただ生きるだけ。
天邪鬼!
今こそ本領を発揮して進め。
世界がうるさいのなんて
今に始まったことじゃない。
無意味なバカみたいなリズムに乗って、
一歩、また一歩と足を動かし、死への道を歩いていく。