固まった指を広げる ミシッと鈍い音を立てる関節 誰もいない部屋 広くて狭い僕の世界 エアコンの音 ビジュアル系バンドの歌声がスピーカーから流れている やけに響く時計の針 優しい歌が聴きたくて再生停止のボタンを押す 静寂に包まれて 優しい歌なんてないことに気づく 僕のことを誰かに知ってほしい そんな気がする 本当は君に僕のことを知って欲しい そんな気がする ブルーライトが僕の太陽 君の目にはまだ遠い二人の思い出 熱帯夜に凍えている 僕はただ息をする 中途半端でも生
見える景色の少なさに今更ながら驚いている 外から聞こえる子どもたちの遊び声 手が届きそうで届かない現実世界 例えば空から違う世界が降って来たなら 例えばいつか君に会えるなら 例えば花さく青空の下 例えば風に吹かれて空高く飛ぶ鳥を見上げていたなら 例えば草の上に寝転んだなら 冬を待つ 秋を待つ 冷たい空気を待つ この夏の気持ちを言葉に出来たなら 僕はきっと生きるだろう
部屋にひとり金曜日 何もない空っぽの僕 君に会ったら僕の 何が変わるのだろうか この星の希望はどこにあるのか ロック歌手にひどく憧れる夜に 僕の現実はもう手の届かないところ 孤独が皮膚に突き刺さる エアコンの風が必要以上に身体を冷やす 力強い歌声がさらに現実を引き離す どこに向かって歩けばいいのか 誰も教えてはくれないから 僕はこの週末の夜をなんとか生きようと文字を打つ どんな音楽も僕を助けてはくれないだろう 最後には自分だけが頼りになるだろう さっさと人生
泣きたくなるよ 声が聞こえる すべてを離れて 君の声を探してる 旅の途中でも構わない 月の湖を泳ぎたい 弱くて小さくて構わない 雲の上の草原で 風に吹かれて笑いたい 一緒に行こう 道を外れても構わない 見えているようで見えていない 少し離れた世界の裏へ
君が燃えて輝いている 僕も何かがくすぶって わずかに熱を持ち始めている 逃げて逃げて進んだ道は 振り返っても暗闇のまま それでも続く足元の道 かすかに灯る遠い道 光のカケラだけでも構わないから 手に入れたくて 君の歩く道に近付きたくて なんとかしようと前を向く
地球の裏側で誰かが悲劇的な死を遂げる。 滝壺へと落ちていく姿が目に浮かぶ。 今日は嵐のような雨だからそんなことを想像するのかもしれない。 数え切れない人が死んでいるこの地球にこうして僕は今を生きている。話したこともない誰かの人生を想像している。そうして涙を堪えている。自分に何も関係のないことに感動していたりする。 テレビがチカチカと光って雨模様の部屋の中を動いている。映像の中にあの日の面影を重ねてありえたかもしれないありえない未来に浸っている。 みんなが集まって輝く
暗い部屋で布団に横たわった瞬間 悲しくなった。 もしも、 このまま死んでしまったら嫌だなと思った。 バイトに行って帰ってきただけの1日なんて。 今日、本当にこのまま死んだら嫌だから 体を起こしてパソコンを開いた。 何か一言でもいいから書きたかった。何にもならなくたってよかった。少なくとも何か文字を打てば、今日はただバイトに行っただけの日じゃなくなると思った。 このまま死ぬのはなんとなく悲しかった。 誰かみたいに輝きたいと思った。 まだ何にもしていないと思った。 この