キャンプ&トラブル&ツーリング!①
バイクを好きになったのは、中学生くらいの頃。高校生の時に免許を取りたいと思い親に一蹴され、大学生になった時にこっそり教習所に通い、すぐにバレ、初めてのバイクは一年も乗らずに容赦なく売っ払われた。
今現在、めげずに再びバイクに乗って、更にキャンプに行くことを趣味にしている。リターンしてからのその軌跡を記録に残しておこうと思う。
今回はキャンプツーリングを始めたばかりの頃のお話。
・バイク再び
大学の頃乗っていたのはHONDA CB400SSという、キックスターターしかないバイク(その後セルが搭載された)だった。発売当時、YAMAHA のパクリだとかなんとか言われたように、クラシカルな単気筒はSR400に似ている気もした。
タンクが深い緑色で、とても綺麗な一台だった。
冬に免許を取り、ゴールデンウィークに姉妹揃って帰省した際に、あろうことか軽車両税が実家に届きあっさりバレた。学生だし自分の面倒を自分でみられないうちにそんなもん買うんじゃない! と再び一蹴。
で、売却。
ドナドナされていくバイクをべしょべしょ泣きながら見送った。隠し事は苦手だし、詰めが甘いのも昔からなのだ。
2015年、懲りずに再びバイクに乗る事にした。
次のバイクはSR400(2006年式 ベリーダークオレンジ/茶色)。寮の側にあった中古バイクショップで見つけた。
チェーンの錆を落とし、オイルを入れ替え、タンクをコーティングして綺麗にした。
偶々ナンバーは7250。
どうせすぐにバレると実家に乗っていき、母にバイクを見せた。
「なにこれ!」
「お母さん、バイクのナンバー見てみて」
「72……なにこれ」
脱力したのか、社会人になっていたからか、理由は定かでないけれど、今回は許された。
・SSTRって?
2016年。一人で乗ったり仲間と乗ったり、それなりにバイクライフを楽しんでいたある日のこと。
バイク乗りの茨城の友人とツーリングの話をしている時に、よく雑誌やお店で見かける宣伝の話題になった。
SSTR、Sunrise Sunset Touring Rally。
「風間さんて冒険家の人の企画だよね?」
風間さん。茨城の友達の言葉に記憶を辿る。
南極をバイクで走った人だ。
パリダカ(パリ・ダカールラリー)にも出ていたような。確かに企画には風間さんの名前があった。
「あー、そうだよね。SSTRってなんか、ラリー? みたいなやつだよね。去年もポスター見たけど今年もやるんだね……へえ、9月にあるみたい。参加者募集って書いてある」
「どうするー?」
ライダー冒険家のラリーが日本で、一般の人向けに行われる。とても面白そうだけれど、こんなトコトコライダーでも行けるのだろうか。
でも行けるなら行きたい。
「いいよね、行ってみたいよねー」
私と茨城の友人の間の「〜してみたいよね」は、将来的に「する」のと同義である。私のこの返事で、SSTRに参加「する」ことになった。
ま、なんとかなるだろう。
「キャンツーも興味あるんだよねー」
茨城の友人が言う。
谷川岳を登りに行った時に、濃い緑の山の中で、荷物満載のバイクとすれ違った。ああ言う感じだろうか。野外で使うもの全てをバイクに積んで旅って、なんて楽しそう。
「いいね、いいね! 冒険らしいね!」
これでキャンプも「する」ことに。
実は茨城の友人共々、キャンプなんて大人になってからした事がなかったのだ。ただのキャンプだって、テント以外何がいるのかさっぱり分からない。それなのに、〝キャンプツーリング〟ときたものだ。
この時、季節は6月。
試しに7月に、予行練習で〝キャンツー〟をしてみることにした。
・キャンプ準備
まず、道具(ギア)を用意しなくてはならない。
居るものはなんだろう? 本屋さんに行って、雑誌を買ってきた。丁度良いタイミングでキャンプツーリングの記事が載っていた。
読むと、荷物を載せる為のバッグが紹介されている。シートに固定するタイプで、容量が色々。でもリッターで書かれているからイマイチサイズが分からない。
結局、バイクショップに行ってゴールドウインのシートバッグを購入した。
次に、秋のSSTRを想定してB+COMというBluetoothの通信機器をメットにセット。春先に友人とツーリングした時に、信号の時しかコミュニケーションが取れず、困ったことがあった為。
あとは、シートバッグに入れるもの。
・テント(ワンタッチ)
・ブルーシート
・寝袋(モンベル)
・マット
・椅子
・ランタン(LED)
・やかん
・コッヘル(親に借りた)
・ミニガスバーナーとボンベ(親に借りた)
以上。
今考えると嘘みたいな話だけれど、本当にこれだけ。
ペグはテント付属のものだけ。当然ハンマーもない。タープもない、焚火台も、カトラリーも食べ物でさえもない。大丈夫なのか?
檜枝岐のキリンテかわばたキャンプ場に、雨に降られながらやっとこ到着。着いた時には止んでいたけれど、テントを設営したところで、見かねたキャンプ場の管理人さんがハンマーと大きなバーベキュー用の焚火台を貸してくれた。事前に初めてのキャンプであることを伝えていたのを覚えていてくれたらしい。
その節は色々面倒をかけてスミマセン……。
焚き火を前に、もそもそご飯を食べた。
LEDの小さな照明では、日が暮れてくるとどうしようもなく暗く、何を食べているかさっぱり分からない。本当に全く覚えていないから今紹介もできないくらい。
それに、時間が経つごとに、なんだか寒くなってきた。雨に降られたから、体が冷えたのだ。
早く寝袋に潜り込みたかったけれど、熾火が中々消えず二人無言で手を翳して暖を取った。
朝になり、鳥の鳴き声で目が覚めた。身体は長距離運転と慣れない寝床でバキバキだった。
それなりに楽しかったけれど、イメージしていたキャンプにはならなかった。
「焚火、暖かかったね。バーナーだけじゃなくて焚火台がいるね」
「真っ暗で何食べてるか分からなかったから、ランタンはもう少し明るいのがいいね」
「ペグ用のハンマーもいるね」
帰りながら、キャンプの反省点を挙げる。
秋のSSTRまでには、雑誌に載っていたような素敵なキャンプを出来るようにならなくては。
「マシュマロも焼いてみたいよね」
「いいね、いいね!」
秋にはきっとマシュマロを焼こう。
スモアって美味しそう!
肉なんか焼いたりご飯炊いたりしてみたい。
こんな感じで、初めてのキャンプツーリングは終わった。疲労困憊だったのに、次こそは、と二人で懲りないであれこれ考えながら帰宅した。
「予習出来て良かったねー」
「足りないもの、分かったねー」
「ねー!」
トコトコ呑気にバイクを走らせながら、次のキャンプに思いを馳せる。この時は平和だった。
だってまさか、SSTR本番があんなことになるなんて、露ほども知らなかったのだから。
次の話
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?