演劇雑談『NODAMAP Q』
NODAMAP『Q』大阪新歌舞伎座。小劇団ブームの牽引者であったころから野田秀樹さんのことはリスペクトしておりますが、この芝居に関しては申し訳ありません、私は広瀬すずさんを目当てに観にいきました。ミーハーばんざい。
そんな軽薄な気分で臨んでも、相変わらずの野田節に打ちのめされました。
舞台上に布切れ一枚ひるがえしては、時間、空間、虚構も現実もヒラリと入れ替え、スルリと並べ、観客のイマジネーションを試すようなことをします。これはもう、優しくて意地悪なプレイボーイの手口でしょう。私なんかは、圧倒されてメロメロになるばかりです。野田さん、衰えを知らないというか、ますますパワーアップしているのでは?
物語としては源平の争いにロミオとジュリエットを重ねて、届かなかった思い、すれ違う心の悲しみをダイナミックに展開させています。力強い演出でいてテンポは無理がなく、とても心地よく感じました。さらにユーモアも冴えていて、橋本さとしさんや竹中直人さんは大ウケでした。演者としての野田さんのトボケ具合もいいですね。ほかにも松たか子さんや上川隆也さんなど、出演者は実力の伴ったスターばかりです。すごいです。
しかし一番活躍したのは、自撮り棒でした。あれは最強の武器です。観た人ならわかるでしょうが、とにかく最強でした。
何回かのカーテンコールのあと、客席が明るくなって終演のアナウンスが流れても拍手を止めない図々しい大阪の観客に、何度も何度も出てきて、ついには手までついて礼をしてくれた野田さん、恐縮です。
といいつつ中でも一番大きな拍手をしていたのは、たぶん私です。野田さん、ありがとうございました。そして広瀬すずさん、やっぱり美しかったです。ミーハーばんざい。
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