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lazy_planet
〔インスタントフィクション〕理想の彼女ーsideB
「ずっと一緒にいるよ」
彼はそう言った。本当に嬉しくて、私は世界で1番幸せだと思った。それが呪いの言葉だとは知らずに。
どんなに私の帰りが遅くなっても、夕食も食べずに待っている彼。逆に私も彼を待つしかなく、睡眠不足が慢性化した。その上、疲れて話したくない夜も、1日の出来事を聞いてきて、頼んでもいないアドバイスを延々とくれる。段々と仕事にもミスが増え、退職せざるを得なくなった。
「淋しいんだね」
彼は言った。私が必死に伝えた言葉は全く理解されていなくて、絶望した。電話やLINEで監視され、着る物やアクセサリーまで「君にはこれが似合うよ」と押し付けられる日々。毎日、私が消えていく恐怖。限界だった。
「今日は早く帰るからね」
彼の出社後、慌てて荷物を詰めた。彼に貰った物は全て残したら、あっという間に荷造り終了。最後にスマホと手紙を置いて部屋を出る。どこでもいい、出来るだけ遠くへ行きたい。
私はもう、自由だ。