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〔詩〕飛翔

時が乾いた砂のように
形なく零れ落ちるものならば
逆らうのはもう止めよう
目を血走らせ
髪を振り乱しても
留める術などありはしない

記憶が濡れた砂のように
いつまでも纏わり付いても
無理に擦り落とさなくてもいい
肌が傷付き
指先に血が滲めば
また隙間に入り込まれてしまうだけ

黒く重く濡れた砂も
いつかは乾き
サラサラと零れ落ちるものだから

剥がれ落ちた記憶は
ただの過去の欠片のひとつ
もう探さなくていい
微かな喪失感は翼に変えて
高く高くどこまでも飛ぼう


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