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私の詩集1

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#冬

〔詩〕夕景

〔詩〕夕景

凪いでいく心をかき乱すのは
夕空に光る飛行機雲
枯れ野でひっそり咲く野花
少し音程のずれた子ども達の歌声

謝らないよ
私だけが悪いんじゃない
謝らないで
あなただけが悪いんじゃない
きっとボタンを掛け違えたのは
あなたでも私でもない他の誰か

色褪せていく過去
曖昧に揺らぐ未来
覚束ない足取りで
その狭間を歩みながら

冬の風は頬に痛く
花の香も温もりもない
それでも
もう会うことの無い人の幸せ

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〔詩〕凍空

〔詩〕凍空

どこまでも暗い空
雲の濃淡を確かめながら
境界線を指でなぞってみる
北風に飛ばされた雨粒が
指先に縋り付いては落ちて

いっそ凍ってしまえばいい
指先から
胸の奥まで
悪い魔女の呪いのように

雲の上にラピュタはない
あれはただのお伽話
そう言い聞かせながらなぞり続ける
縋り付くことすらできなかった
あの日を閉じ込めるように

〔詩〕十二月

〔詩〕十二月

どちらからでもなく
静かに少しずつ細くなって
ふっつり途絶えた

もしも、もう一度だけ
なんて望まない

それぞれの街に
それぞれの肩に
淡い雪が降っている