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私の詩集1

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#青ブラ文学部

〔詩〕祈りの雨

〔詩〕祈りの雨

手の甲で溢れる涙を拭う
感情に負けるのが嫌で唇を噛む
そんな子どもっぽい私を
ただ黙って見ているあなた
傷を負ったのは私の方
どこかが痛むような顔はやめて

世界一幸せだと思ってた
いつまでも続くと思い込んでいた
幻日のような夢物語は
愚かで滑稽で
哀れで救いがなくて

遠くで雷が聞こえる
きっともうすぐ
大粒の雨が降り始めるはず
傘を持たないあなたは濡れればいい
私のこの傘を
もう貸してあげるこ

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〔詩〕一陣の風のように

〔詩〕一陣の風のように

サヨナラなんて言わない
そんなの私たちらしくない

今までありがとうなんて
言いたくないし
言われたくもない

何となく出会って
何となく気が合って
何となく一緒にいた

だから最後も
何となく消えよう

覚えていてくれなくていい
忘れてとも言わない
一陣の風が吹いたように
お互いの心がフワッと揺れたなら

そんな瞬間があったなら

それだけでいい

それだけがいい

こんばんは。
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〔詩〕手のひらの恋

〔詩〕手のひらの恋

私たちは忘れてしまった
あの胸の鼓動
交わした約束
不器用な情熱

初めて手を繋いだ日
その繊細で強い手に包まれて
為す術もなく私は蕩けた
原形を留めぬほどに

なのに

あなたは忘れてしまった
あの日告げた覚悟を
私は忘れていた
あなたはそういう人だったこと

右肩の寒さに慣れ
背筋を伸ばし歩く夕暮れ
通り過ぎる恋人たちに
心がざわつくこともない

ただ

右の手のひらだけが
残り火のように

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