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私のショートストーリー

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自作のインスタントフィクションやショートストーリーをまとめています。
運営しているクリエイター

#シロクマ文芸部

〔ショートストーリー〕居酒屋にて

働いているのは家族のため。妻の紗絵と幼い娘の瑠美は、俺の大切な宝物。そう思ってきたのだが…

ネコハル
22時間前
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〔ショートホラー〕霧の朝

霧の朝はいつも緊張する。何かが息を潜めて、こちらの様子を窺っているのを感じるから。 私が…

ネコハル
11日前
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〔ショートストーリー〕紅葉の下にて

紅葉から奈保子が思い浮かべるもの、それは「終わり」だ。広葉樹の葉は、散る前に色を変える。…

ネコハル
2週間前
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〔ショートストーリー〕T高校・新入部員

「爽やかな夕方だなあ!」 いつも元気な勝浦が、ご機嫌で入ってくる。ここはT高校発明部の部…

ネコハル
1か月前
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〔ショートストーリー〕いつかの日常

木の実と葉を籠から取り出して選別する。木の実は、そのまま食べられる物、焼いたり煮たりして…

ネコハル
1か月前
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〔ショートストーリー〕金色の聖杯

金色に輝く聖杯をこの洞窟から持ち帰る。そうすればゲームクリアだ!俺はワクワクしながら、慎…

ネコハル
1か月前
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〔ショートストーリー〕風の色

「風の色を探しに行きたい」 あの夏の終わり、彼はそう言ってこの海辺の街を出て行ったわ。私はそれを信じた振りをして、笑って見送っただけよ。 売れない水彩画家の彼は、私がいないと生きていけないと、口癖のように言っていた。だから私は必死で働いたわ。彼には好きな色で、好きな物を、自由に描いて欲しくて。 彼は海辺の風景が好きでね、いつも青の絵の具を欲しがっていた。買い足しても買い足しても、青の絵の具ばかりすぐになくなって。深い青も明るい青も、様々な名前で売られていたけれど、本当は私に

〔ショートストーリー〕発明同好会の夏

「風鈴と虫かご、どっちが良いと思う?」 T高校・発明同好会部員の勝浦が、部室に入るなり部…

ネコハル
3か月前
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〔ショートストーリー〕白いかき氷

かき氷は食べにくい。特に、夜店で渡されるストローの変形のようなスプーンでは、こぼしてしま…

ネコハル
4か月前
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〔ショートストーリー〕代償

海の日を二人で過ごしたいと言うと、彼は困った顔をした。その日は家族、つまり奧さんと息子さ…

ネコハル
4か月前
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〔ショートストーリー〕手紙

手紙には、差出人の名がなかった。だが印刷された宛名は、確かに里美になっている。一瞬躊躇っ…

ネコハル
4か月前
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〔ショートホラー〕友だち

月曜日なんて来なければ良いのに。日曜の夜、ベッドに横たわったまま菜摘は思った。視線の先、…

ネコハル
5か月前
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〔ショートストーリー〕紫陽花

「紫陽花を少し、分けていただけないでしょうか」 水曜の午後、チャイムの音に玄関まで走ると…

ネコハル
5か月前
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〔ショートストーリー〕赤い傘

赤い傘はあたしに似合わないと、中学校からの帰り道、チーちゃんは意地悪く言った。 「あんたみたいに色も黒くてガリガリで地味な子、そんなの似合うわけ無いじゃない」 笑いながらあたしから新しい傘を取り上げると、これは自分のものだと宣言して持ち去った。代わりに、チーちゃんの色褪せたブルーの傘を残して。 チーちゃんは、ずっとそうだった。幼稚園でもあたしが遊んでいるおもちゃを欲しがって、無理矢理取り上げる。取り返そうとすると、 「せんせー!私のおもちゃ、みっちゃんが取ったー!」 と泣き