〔ショートストーリー〕T高校・新入部員
「爽やかな夕方だなあ!」
いつも元気な勝浦が、ご機嫌で入ってくる。ここはT高校発明部の部室で、元々は理科準備室。部員は勝浦と、部長の吉野だけだ。
「何かいろいろ違う気がするけど」
先に来ていた吉野が冷静に突っ込む。
「まず、あまり夕方にその形容詞は使わないな。で、何より外を見ろよ」
注意報レベルの雨が、窓を激しく叩いている。傘があっても外に出るのを躊躇うレベルだ。
「この天気のどこが爽やかなんだよ」
吉野の言葉に、誰かがクスッと笑う声がした。気のせいか?
「いや、これこそ爽や