マガジンのカバー画像

私のショートストーリー

109
自作のインスタントフィクションやショートストーリーをまとめています。
運営しているクリエイター

記事一覧

〔ショートショート〕逃亡

奴らの包囲網をかいくぐり、俺は小さなボートで島を離れた。夜明けまでにどこかの無人島まで逃…

ネコハル
4日前
35

〔ショートホラー〕霧の朝

霧の朝はいつも緊張する。何かが息を潜めて、こちらの様子を窺っているのを感じるから。 私が…

ネコハル
7日前
32

〔ショートストーリー〕紅葉の下にて

紅葉から奈保子が思い浮かべるもの、それは「終わり」だ。広葉樹の葉は、散る前に色を変える。…

ネコハル
11日前
31

〔ショートショート〕遠距離恋愛販売中

またLINEだ。付き合って3か月、俺は清美にウンザリしていた。束縛と嫉妬が激しすぎる。 「遠…

ネコハル
11日前
38

〔ショートショート〕供物

彼は退屈していた。実業家として大成功を収めた後、アッサリ事業を手放し、長年の夢だった冒険…

ネコハル
2週間前
43

〔ショートショート〕時代を超えた宴

部屋を見渡して、圭子は激しく後悔した。ハロウィンなんだから、普通の仮装とは違うのに。魔女…

ネコハル
3週間前
49

〔ショートストーリー〕T高校・新入部員

「爽やかな夕方だなあ!」 いつも元気な勝浦が、ご機嫌で入ってくる。ここはT高校発明部の部室で、元々は理科準備室。部員は勝浦と、部長の吉野だけだ。 「何かいろいろ違う気がするけど」 先に来ていた吉野が冷静に突っ込む。 「まず、あまり夕方にその形容詞は使わないな。で、何より外を見ろよ」 注意報レベルの雨が、窓を激しく叩いている。傘があっても外に出るのを躊躇うレベルだ。 「この天気のどこが爽やかなんだよ」 吉野の言葉に、誰かがクスッと笑う声がした。気のせいか? 「いや、これこそ爽や

〔ショートストーリー・青ブラ文学部〕忙しいのにアンニュイな店主

「何で、こんなに忙しいのにアンニュイなんだよ」 常連客が笑いながら言う。 「忙しいのに、じ…

ネコハル
1か月前
26

〔ショートストーリー〕いつかの日常

木の実と葉を籠から取り出して選別する。木の実は、そのまま食べられる物、焼いたり煮たりして…

ネコハル
1か月前
32

〔ショートショート〕真っ白な未来

俺の人生は真っ白でなければならない。A子、B美、C香の三人と並行して付き合うのもそろそろ終…

ネコハル
1か月前
45

〔ショートストーリー〕金色の聖杯

金色に輝く聖杯をこの洞窟から持ち帰る。そうすればゲームクリアだ!俺はワクワクしながら、慎…

ネコハル
1か月前
28

〔ショートショート〕夜からの手紙

俺には秘密の習慣がある。毎夜、眠る前に自己催眠をかけるのだ。自分の潜在能力を呼び覚ますた…

ネコハル
1か月前
51

〔秋ピリカ〕紙切れ一枚

紙切れ一枚で、家族にも他人にもなり、人生が変わる。不思議なシステムだと秋乃は思う。 「こ…

ネコハル
1か月前
67

〔ショートストーリー〕解き放たれた日常

「わーい!今日の給食はカレーライス♪」 午前の授業が終わりはしゃぐ私に、未来(ミク)が一言。 「相変わらず、女子中学生とは思えないよね。完全に色気より食い気」 「あったり前。色気でお腹は満たされないもん」 私は鞄からゴソゴソと木製のスプーンを取り出す。 「お、今日は準備万端」 半笑いの未来。本当に、この間はこれを忘れて大変だったのだ。 昔、ユリ・ゲラーという人がテレビでスプーン曲げをして見せ、それを見た全国の子ども達があちこちで真似をしたという。スプーンを曲げた子ども達の大