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私のショートストーリー

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自作のインスタントフィクションやショートストーリーをまとめています。
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#私の作品紹介

〔ショートストーリー〕線香花火

待ち合わせのカフェには、5分前に着いた。店に入った私を見て、先に来ていた鈴音が軽く手を振…

ネコハル
6か月前
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〔ショートストーリー〕白いかき氷

かき氷は食べにくい。特に、夜店で渡されるストローの変形のようなスプーンでは、こぼしてしま…

ネコハル
6か月前
29

〔ショートショート〕僕の選択

ヨシが僕の机の上にドン、と鞄を置く。 「今日もヨロシク!」 続いてタロウ、トシ、フミオも真…

ネコハル
8か月前
25

〔ショートショート〕てるてる坊主の暗号

美雪と付き合って1年が過ぎた。高校生活も残り数か月、地元に残る予定の美雪と、東京に行く予…

ネコハル
8か月前
37

〔ショートストーリー〕名前を呼んで

「未智、誕生日おめでとう」 彼は真っ赤な薔薇の花束を渡してくれた。包装もお洒落だから、き…

ネコハル
8か月前
28

〔ショートストーリー〕赤い傘

赤い傘はあたしに似合わないと、中学校からの帰り道、チーちゃんは意地悪く言った。 「あんた…

ネコハル
8か月前
45

〔ショートショート〕祈願上手

図書館からの帰り道で考えた。何で昔話や童話に出てくる主人公たちは、願い事が下手なんだろう。 「三枚のおふだ」の小僧さんは、おふだに「山姥をやっつけてください!」と言えば良かったのに。「漁師とおかみさんの話」の漁師は、欲深い妻の言うことを最後まで聞かず、「妻を改心させてくれ」と言えば良かった。他にも、願い事が3つだけだと言われたら、3つ目で「私を魔法使いにして!」と言えば、後は好きに出来たのに。全く、誰も彼も下手すぎる。祈願上手な私なら、そんなチャンスをみすみす逃したりしない。

〔ショートホラー〕金魚鉢

金魚鉢を拾った。ネットで調べた、釣りの穴場で。穴場というだけあって、投げ釣りしやすい砂地…

ネコハル
8か月前
39

〔ショートショート〕文学トリマー

私の仕事は「文学トリマー」。世の中には偽物の文学作品が多すぎる。仲間を裏切ったり、国家に…

ネコハル
9か月前
36

〔短編小説〕嗅覚(本編1)

『今晩は。マサヤです』 7時を少しまわった頃、生配信が始まった。 『今夜の依頼は少し深刻で…

ネコハル
9か月前
19

〔短編小説〕嗅覚(プロローグ)

午後6時、時間きっかりに咲夜は来た。俺の住む安アパートのドアをノックすると、即座にガチャ…

ネコハル
9か月前
17

〔ショートショート〕記憶冷凍屋

記憶冷凍庫の中には、色も大きさも様々な花が並んでいる。ここの管理を始めて、もう何年になる…

ネコハル
9か月前
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〔ショートストーリー〕風薫る

風薫る。昔、日本という国には、そんな言葉があったそうだ。五月ごろ、若葉の間を吹き抜ける風…

ネコハル
9か月前
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〔ショートショート〕常春の地

もう嫌だ。 会社の業績悪化で僕は切られ、次の派遣先も見付からない。全財産は財布の二万円。 外から賑やかな音楽が聞こえる。そう言えば今日は日曜、広場でのみの市がある。財布を手に僕はアパートを出た。 賑やかな会場で、手作りの店やキッチンカーを覗く。ふと、ある商品名に目が留まった。 「春ギター?」 古そうなギターだが、値段は「全財産」。丁度いい、もうこれを買って終わりにしよう。 「春ギターください」 財布を取り出し小銭まで全部渡す。店主は少し驚きつつ、ギターを僕に渡すと言った。