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2020年12月の記事一覧

失恋ですか、と美容師さんは聞いた

「20cm、切ってください」 鏡に映る自分をまっすぐに見つめて、考えてきた言葉を一息に言い切りました。 「顎くらいかな、それより下?でいいですか?」 3回目になる担当の美容師さんは、初対面とも気を許してるとも言えない距離の敬語でわたしの毛先をいじりました。 顎下のボブなんて、何年ぶりでしょうか。 大学2年生くらいまで、高校生の延長のようなボブをしていたのが私の中では最後の記憶です。それからは鎖骨あたりで揺れるくらい、伸びてもそこに戻って、当たり障りのない女子を楽しん

28歳

28歳。新卒で入った都内のセールスプロモーションの会社を辞めた。退勤は毎日23時を廻る。時折会社に4日間ほど泊まり込む。そんな勤務は少しずつ身体と頭にダメージを与えた。辞めると定収入が途絶えるのでバイトでつなぐ。学生の時にもやっていたテニスインストラクター。それだけでは厳しい。大学同期のKが家業のビルメンテナンス会社に入っていた。声を掛けてくれた。うちでバイトしないか? 新大久保にある小さな会社。少人数で現場を廻る。社名にビルメンテナンスとあるが、要は何でも屋だ。公共施設や

広島のお好み焼き屋で大阪弁の天使に出会った話

広島のお好み焼き屋で天使に出会った。 おじさんの姿で大阪弁を話していたけれど、間違いなく天使だ。 * 11月中旬、夫と二人で広島を旅した。 私たち夫婦は2019年に神奈川から兵庫に移り住んで以来、旅らしい旅をしてこなかった。1年目は新生活を軌道にのせるのに精一杯で旅どころではなかったし、2年目にようやく落ち着いてきて「そろそろどこかに行きたいねぇ」と話していたら、あれよあれよとコロナ禍の世に。 年に1回は見知らぬ土地を訪れ、美味しいものをたらふく食べるのを楽しみに生き

大晦日なので2020年推しnoteを発表する

はい。大晦日ですし、2020年の推しnoteなんていう素晴らしいタグもあることですし。せっかくなのでわたしも今年読んでよかったnoteを発表します!したい!させてくれ!ヨイショ! 岡田悠さんドミノが倒れる爽快感。倒れないかもしれない緊張感。倒れた時の歓喜。倒れなかった時の悲鳴。膨大な時間と汗が注ぎ込まれた造形物が一瞬にして崩れゆく儚さ。見ているこっちまで手に汗握ってしまう。 これ、やりたい。ドミノ、やりたい。 だから会社のリモート忘年会で、リモートでドミノ倒しをすることにし