「いい人」と「悪い人」の矛盾を抱えた彼を好きになったから、分かった。
この時期になると、毎年思い出してしまう人がいる。
社会人になりたての頃、好きだった先輩のことだ。
彼のことは、周りの友人たちにも散々「やめておけ」と言われながらも、諦めきれずにずるずると関係を引き延ばし続け、一番仲の良かった友達に「あの人は、あなたの人生を掻き乱すほどの価値なんてない人だよ」と真顔で言われてようやく目が覚めた。
わたしのことも先輩のこともよく理解しているからこそ、苦しそうな表情でそんなことを言ってくれた彼女の気持ちを思うと、今でも苦しくなるし、恥ずかしくて