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【読書日和】「カモメに飛ぶことを教えた猫」(ルイス・セプルベダ著)を読んで~大切なものとは~
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この本に出会ったのは、あるカフェ兼書店だ。そこの書店では、本にカバーをかけ、本の題名すらわからない。その本を読んだ人が書いた感想が一枚だけ。それを読んで本を選ぶ。持っている本と被るのは嫌だな、と思ったので、普段読まない新書版サイズの本を購入した。
それが、この本を読むことになったきっかけ。
まず、「猫」という文字に心が踊った。自分の好きな猫。そんな本を購入して嬉しくなった。
主人公は、黒猫のゾルバ。瀕死のカモメに卵を託され、奮闘する。そしてゾルバの周囲の猫たちの協力。一匹の猫のために、多くの猫が手伝おうとする。それは、「絆」があってこそ。彼らはそれを築き、付き合っている。何故かその「絆」が、人よりも強く感じた。打算もなく協力する。それは人であっても難しい。かえって人の方が色々考えてしまうからこそ難しいのかもしれない。
カモメの卵は無事に雛となり、成長していく。ゾルバを母だと思っている雛。でもゾルバは亡くなったカモメとの約束、「飛ぶことを教える」ことを果たそうとする。
この作品で感じたのは、愛情。種を超えて相手を思いやることが出来る猫たちや雛が愛おしい。
それと反比例するかのような、人間の横暴さも描かれている。それがファンタジーのような話から、リアリティーも見えてくる。
人間の横暴さを知っている猫たちも、最後には人間を頼る。猫たちは心底人間が嫌いという訳ではなく、個を見ている。人間を人括りにはしていない。これは人間でも難しい。それを、この猫たちは実行している。そんな猫たちには考えさせられた。
最後、飛んだ雛を見て、港の猫たちは何を思ったのだろう。雛には「フォルトゥナータ」と名付けられた。それは「幸運な者」という意味。港の猫たちはフォルトゥナータの幸せを見届け、フォルトゥナータも幸せになったのではないかと思った。
ゾルバは寂しくも、我が子の幸せを願ったのではないだろうか。