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【読書日和】『そのハミングは7』(虹乃ノラン著)を読んで~光の音を見て~


 この作品を読み終えて、泣いた。なんてつらくて優しい話だろう、と。
 いきなり降りかかる出来事。これは誰にでも起こるかもしれないこと。ある意味「自然」とは、誰にも平等であって、平等ではない。「どうして」と考えてしまうのも仕方がないこと。ただ、そこから「自分」がどうするかを「自分」が決めることになるのではないか。
 人の根幹である、家族や周囲の人たち。この作品の主人公であるトビーの周囲は暖かく、いつでも受け入れてくれる。だが、それはいつもそこにあるものではない。それはとても幸せなこと。それに気づくことが出来たのは、成長したから。そして、考えたから。
 トビーは、大切な人に出会い、変わっていく。「自然」とは大事なもの。それを理解するには小さ過ぎたトビー。少なくない年月を経て、「自然」に気づいていく。とても大事な「自然」と向き合うことで、成長できたのではないだろうか。それが光の「音」だったのかもしれない。また、それが大切な人の真実だったのかもしれない。
 そして、そんなトビーの気持ちは受け継がれていく。これからもずっと、そうであって欲しい。
 最後に、表紙がトビーの心の光を表しているように感じた。

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