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#モーツァルト
ピアニスト・藤田真央 #02「わたしに”合っている”モーツァルト」
毎月語り下ろしでお届け! 新連載「指先から旅をする」
★毎月2回(5日・25日)配信します★
わたしが共演したイスラエル・フィルハーモニーは、昨年85周年を迎えた伝統ある楽団です。初代音楽顧問のウィリアム・スタインバーグから始まり、レナード・バーンスタインやズービン・メータといった、偉大なるマエストロたちとともに歴史を刻んできたオーケストラですので、ご一緒できたのはたいへん光栄でした。
ピアニスト・藤田真央エッセイ#22〈バンクーバーからアムステルダムへ――コンセルトヘボウ・デビューに向けて〉
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2023年3月5日、私はカナダ・デビュー・リサイタルのため、バンクーバーの地を訪れた。バンクーバーは空港から街中まで車で20分、美しいビーチや壮大な雪山へも30分ほどという、コンパクトで素敵な街だ。
一つ欠点を挙げるのであれば、日本のようにクラシック音楽の為に設計されたホールがないことだろう。かつて秋山和慶先生が音楽監督を務めておられた(現在は桂冠
ピアニスト・藤田真央エッセイ#20〈Toi toi toi!――NYカーネギーホール・デビューの日〉
Toi toi toi!
私たち演奏家は舞台袖からステージへ一歩踏み出す際、この言葉で鼓舞される。ステージマネージャーや調律師からのこの言葉を合図にステージへのドアが開き、拍手を浴びながら歩き出すのだ。この光景は、音楽家であったら誰もが憧れ一度はその舞台で演奏したいと熱望するであろうカーネギーホールでも同じだった。
Toi toi toi……この言葉の意味を正確には理解していないが、おそ
ピアニスト・藤田真央#16「亡き恩師・野島稔先生のレパートリーを――モーツァルト《ピアノ協奏曲 第27番》」
毎月2回語り下ろしでお届け! 連載「指先から旅をする」
◆モーツァルト最後のコンツェルト
11月30日の東京・サントリーホールでのコンサートを終えた翌日から、わたしは一時ベルリンに戻って来ています。12月下旬にはまた日本に帰ってきて、コンサートで全国を廻る予定です。そのまま日本で年越しをしまして、来年1月からは再びモーツァルト漬けの日々が始まります。
まずは、1月14日、15日、16日。そ
藤田真央×恩田陸「ピアノで、言葉で、世界を奏でる」スペシャル対談〈後篇〉
▼藤田真央×恩田陸スペシャル対談〈前篇〉▼
▼藤田さん連載「指先から旅をする」▼
★新しい地平を開拓するのは、いつだって怖い恩田 東京オペラシティで行われたリサイタルのアンコールも印象に残っています。ご自分で作曲された《パガニーニの主題による変奏曲》、ジャジーなアレンジでしたよね?
あれを聴いて、藤田さんはジャズも向いていらっしゃるんだろうなと思いました。
藤田 そうだ、恩田さんは学生時
ピアニスト・藤田真央#21エッセイ〈幻となったピアノ・デュオ〉
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2023年1月25日のカーネギーホールでの公演後、私は東京へとんぼ返りして、日本各地で演奏会を行った。ハイライトはやはり、全5回にわたる〈モーツァルト:ピアノ・ソナタ全曲演奏会〉の最終章を完遂できたことだろう。
このツィクルスは21年3月から始動した。当時は感染症対策の為に客席は1席ずつ間隔を空け、会場には定員の半数しかお客様を集められないとい
藤田真央×恩田陸「ピアノで、言葉で、世界を奏でる」スペシャル対談〈前篇〉
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★天衣無縫のモーツァルト恩田 お久しぶりです。お目にかかるのは『蜜蜂と遠雷』のコンツェルト収録(2018年8月13日)以来ですから、もう4年になりますか。
藤田 そうですね。あの時は初台の東京オペラシティで、バルトークの《ピアノ協奏曲 第3番 Sz.119》を演奏しました。金子三勇士さんと河村尚子さんと私でそれぞれコンツェルトを1曲ずつ、3曲を1日で