L.A.でのインタビューで藤田真央くんが語ってたこと。(ラジオ音源翻訳)
【Mark McNeill(MUSIC journalist)】
それでは、私たちのソリストをご紹介したいと思います。
Mao Fujita、こんにちは。こちらへどうぞ。
【(太字)藤田真央くん】
-こんにちは。
【Mark】
お元気ですか?本日は是非ともよろしくお願いいたします。
【真央くん】
-ありがとうございます。
【Mark】
ドジャースのユニフォーム、素晴らしいですね。
ぜひスポーツの話をしたいところですが、本日はしません。(笑)
Maoは今夜ラフマニノフのピアノ協奏曲2番を演奏します。オーケストラはロサンゼルス・フィルハーモニーです。
ところでMaoは素晴らしい経歴をお持ちですね。
あなたはまさに天才です。
今回は、その素晴らしい経歴の中から2つピックアップしてご紹介します。
まず彼は2019年の国際チャイコフスキーコンクールで銀メダルを獲得しました。
そしてその後驚くべきことに、モーツァルトのソナタを全曲弾き、音源化しました。「全て」です。
ということで、本日はMaoにたくさんの質問をしたいと思います。
どうぞゆっくりしていってくださいね。
【Mark】
では、まずラフマニノフのコンチェルトとあなたがどのようにして出会ったのか、また、あなたがその曲を初めて聴いた時の感想をぜひ知りたいです。
というのは、ピアニストにとってこれ(ラフマニノフのコンチェルト)は、おそらくトップ 4 の協奏曲でしょう。
それは、この長い歴史の間ずっとです。
【真央くん】
-まあ、そうでしょうね。
私はチャイコフスキー国際コンクールで受賞したので、その際にラフマニノフの協奏曲を弾く機会がありましたが、今夜の2番のコンチェルトだけでなく、3番とパガニーニ狂詩曲も弾く機会をいただきました。
でも、そうですね、、、。
この曲は非常に多くの人が極端なフォルティッシモなど、極端で攻撃的な音を演奏します。
しかし、ラフマニノフはこの協奏曲2番を作った時に、自分で録音し、演奏しているのですが、
その音は非常に叙情的で、深く歌われた旋律となっています。
そして、すべてのテーマや意図が非常に明確に表現されています。
この曲はやはり技術的にとても難しいですし、運指の位置もあまり多く書かれていません。アジア人である私の手は非常に短くて小さいのですが、彼の指はとても大きいのです、、、。
ですから、指使いをとても美しくするのは非常に難しいところですね。
(話は外れましたが)そうですね。私はラフマニノフの非常に抒情的な歌や詩、音に重点を置いています。
これが彼の曲の重要なポイントだと思います。
【Mark】
あなたがこのようにアプローチする有名な協奏曲や有名な作曲家は、他にもいますか?
なぜなら、あなたが話している音楽へのアプローチ方法は脆いもので、例えばプロコフィエフのようなコンチェルトに対しては、まったく違うアプローチになると思われるからです。
それで、ラフマニノフがスコアにもたらした叙情的な性質に対して、あなたが今回アプローチしたような同様の協奏曲は他にもあるのだろうかと、疑問に思っています。
【真央くん】
-ラフマニノフの作風は、初期ロマン派の音楽にも通じています。
ブラームスやチャイコフスキー、そしてそのほか5人のロシア人作家、ムソルグスキーやリムスキー・コルサコフのように、、、
彼らの方法は、彼らの…
どう説明するか…(説明が難しいですね。)
でも、そうです。
とにかく、ラフマニノフに対しては、他の作品とは全く異なる、彼の作品特有のアプローチを行っています。
そうですね。
例えばプロコフィエフとショスタコーヴィチは、同じ年齢で同じ歴史の中に生きていましたが曲の描き方やスタイルが全く違います。
ロシアの作家も、同様だということです。
【Mark】
ラフマニノフは、その点が重要だということで。では、特殊なものと言うとショパンのコンチェルトについて、彼の作品にどうやってアプローチするのか。
この点についてはどうですか?
【真央くん】
-はい、少し、そのハーモニーの感覚を、、、
彼は、自分のハーモニーを確立しています。
ちょっと、ちょっと、ちょっと、私がお見せしますね。
(ショパンを弾いてみせる)
このハーモニーはラフマニノフ作品の典型的なスタイルです。
これは「ラフマニノフのハーモニー」と言っても過言ではありません。
【司会者】
ではラフマニノフのほかに素晴らしい作曲家は、誰かいますか?
【真央くん】
-もちろん、ジョージ・ガーシュウィンは素晴らしい作曲家です。
絶妙なセンスを持った音楽ですし、ハーモニーの感覚が素晴らしいです。
(ガーシュウィンの有名なハーモニーを弾いてみせる)
【司会者】
いやぁ、素晴らしいですね。
【司会者】
さて、あなたのモーツァルトのコンプリートアルバムに興味があります。まずは、そのアルバムを作ろうとと思ったきっかけについて教えていただきたいです。
なぜなら、それはかなりの大仕事であり、先ほども申し上げたように、あなたはかなりの神童だからです。
【真央くん】
-はい。
きっかけは、そうです。
私がモーツァルトのソナタを選んだ理由は、スイスのクララ・ハスキルコンクールとモスクワのチャイコフスキーコンクールの両方に出場したとき、特にモスクワのチャイコフスキーコンクールでは、出場者は古典派の曲(ソナタ)を演奏する必要があるからです。
そして、その時には多くの人がベートーベンの「熱情」やワルター・シュタインを演奏しました。なぜなら、これは非常にテクニックが必要であり、超絶技巧的な曲だからです。
しかし、私はモーツァルトの美しいソナタを選びました。
この演奏は、私にとってとても幸せなモーツァルト演奏でしたが、オーディエンスはとても驚いていたようです。
それから私は、ヴェルビエ音楽祭の創始者であるマーティン・エングストロムから、彼のフェスティバル(ヴェルビエ音楽祭)でオール・モーツァルトのソナタ・サイクルを弾く機会を頂きました。
そして、その演奏にソニー・クラシカルが興味を持ったのです。
同市内の別の会社も興味を持ってくれましたが、私はSONYを選びました。
その後、SONYがモーツァルト集のレコーディングに2〜3週間ほど時間を与えてくれましたので、そこでレコーディングを行いました。
【司会者】
このモーツァルト集はかなりのものです。
私はあなたの音源をここ数日聴いていましたが、とても素晴らしいものでした。
ぜひチェックしてみてください。
とても、とても、とても美しいです。
こんなかんじです(^^)。
日本ではもちろんですが、アメリカでも真央くんは「まさに天才」と言われていましたね。
お話はもちろんですが、ショパンやガーシュウィンのフレーズを真央くんが「ふっと」弾いたところで、会場にとてつもなく柔らかい空気が流れ込んだところが印象的でした。
私自身、真央くんの今回のインタビューをお聞きして、ショパンやガーシュウィンだけでない「ロシアの有名な5人の作曲家」にも興味がわきました^^
こんなふうに、今後もより深くクラシック音楽の世界を味わっていきたいと、そう思わせてくれたインタビューでした。