グループホームの風景~ホーム大喜利#9~
夏真っ盛りホームでは今日も様々な人間模様が繰り広げられています。
今年は7月初めは暑い日が続き、この先が心配でしたが8月に入ってから意外と涼しく過ぎています。
それでも夏でして、夏バテ気味な入居者はいるのです。
今回の場面
「食事の一コマ」
最近食事の摂取量が落ちてきたAさんに対しての対応です。
前回まではこちらより
PS:この記事はよしぱらクラブで2023年8月にUPしたものを再編していますのであしからず😁
食事は楽しいなー
よしぱら:「Aさん食べないと夏バテするよ」
と話して促すと
Rさん:「いやー-なにするの?!」
よしぱら:「これは食べなくていいから!それだけは食べましょうね」
(完食は目指さず、本人が好きなものだけ勧める)
Rさん:「誰か!助けて!!殺される!!」
よしぱら:「誰も殺しませんよ!!お願いだから食べてー!!」
Rさん「あらそう!ありがとうございます」
その後も食べる食べないの押し問答が続きます…😅
考察
Rさんはもともと食べるのが大好きな方です。この数カ月で認知症の症状が悪化しています。
食事量低下に伴い、食べる動作(食べ方)を忘れてきていて、加えて水分摂取も少なくなり心配な状態です。
人間の食べる行為は生命維持はもちろんですが、何より人生においても食事は楽しみの一つです。
ある特定の脳機能が低下するだけで、この
食べる=摂食行為
が阻害されます。
食欲について以下の様な記述がありました👇
視床下部について、改めて脳のどこにあるかの確認です👇
食べ物を認識する、箸やスプーンを使って食べるなどの行為は、普段何も考えないで出来ていますが、改めて食べる行為を考える機会はそんなに無いかと思います。
私は高齢者福祉(認知症)の現場で入居者を目の当たりにして
【食べる行為とは何ぞや?】
と常日頃から考える様になっています。
繰り返しになりますが、病院や福祉施設などで働いていないと考えることすら無い行為ですが、人間の行動は生まれてから死ぬまでに獲得と喪失の繰り返しがあるのかと思います。
(うーん深いですな!!🤔)
在宅で介護されている方。もしくは、これから福祉施設で働く予定のある方なら、摂食(食欲にはじまり、一連の食べる行為など)についてのメカニズムを知っていると拒食などの観察や対処に役立つと思います。
食事は3大介護の一つ。必要とされている方の状況で対応が変わります。
まとめ
今回は食事拒否について、Rさんをモデルに考察しました。
Rさんは②脳血管性認知症からはじまり、①アルツハイマー型認知症へ進行していきました。この様に病変が進み変わるのも認知症の特徴です。
改めて認知症はタイプ別に中核症状※1があり、それから様々な周辺症状※2に繋がります。これらが進行によって複雑に出現していきます。認知症介護についても個々の現状によって接し方などを使い分けています。
今後Rさんは食事を自主的に食べるのが難しくなります。そうなると今は声がけから
「食べてください」
とはじめの数口を自分で食べてもらう様に促していきます。症状の進行により目の前に配膳されていても、食べる行為自体を忘れてしまうため、職員が食事介助を行う運びとなります。
食べる行為=食事
は生命維持の他、楽しみと前述しましたが、それらが失われていく過程を知るのはやはり辛いものです。
人は食べられなくなると、急激に身体は痩せ細りやがて死が訪れるます。その時まで、私達介護職は可能な限り淡々と介助を行い日々関わってゆくのです。
今回の大喜利は、食事拒否からの現状を書いています。
人の一生は楽しい場面の裏側に、悲しさや辛さなどが見え隠れします。認知症介護の今について知って頂ければ幸いです。
※1:一般的に認知症の方なら誰でも現れる症状
脳細胞が壊れ、働きが低下し直接的に起こる症状。 料理、掃除、洗濯などの家事が上手に出来無くなったり、体験した経験などを忘れてしまうなどです。
※2:妄想、幻覚、不 安、焦燥、せん妄、睡眠障害、多弁、多動、依存、異食、過食、徘徊、不潔、暴力、暴言 など必ずしも認知障害※3と言えない行動的な障害。
※3:「記憶障害」「失語」「失行」
「失認」「遂行」機能障害」の5つあります。
今回はここまで
最後まで読んで頂きありがとうございます
次の記事で会いましょう。