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マスクの下の私だけの小さな世界。

仕事柄ほぼいつもマスクをしている環境だった私は、
以前からマスクに馴染みがある。

そして、ずっとマスクの下には
自分だけの小さな世界があることを感じていた。

マスクをすると顔が見えない為、自分や相手の表情がわかりにくく
あまりいいものではないと思われているかもしれない。
確かにそういう面もある。
お互いの顔が見えないというのはやはり淋しいものだ。
また、誤解も生まれやすい。

しかし、今や必要不可欠。

感染症対策に関しては、
もともと日本人はマスクをよく着用している方だと思う。
実際に風邪やインフルエンザの流行の時期になると、
着用率はさらにぐんと高くなる。
あ、花粉症の時もか。
それでも一昨年まではみんなが年中マスクなんてことはなかった。


けれど、今や当たり前をこえてみんな
「確実に」マスクをつけるようになった。
もはや常識化した。

私が言う「マスクの下の私だけの小さな世界」とは
この状況になるもっと以前から自分の中でずっと感じていたものだ。

先程も言った通り、職場ではいつもマスクをつけるのが
当たり前の環境だった。
マスクだと相手の声が少し聞き取りにくいこともあるが、
とにかくここでは着用するのが普通。
このマスク着用が普通の環境で働くことで
自分が一番マスクについて感じたことは、
マスクをつけると
「自分の顔の表情が悟られない」
ということだった。

嬉しい時も悲しい時も、怒っている時も。

酷い言葉を言われたり理不尽な事をされた時
悔しい気持ちを我慢して
唇を噛み締め歯を食いしばり
とにかく我慢した。
「今このマスクの下の私の表情は絶対出したらダメなやつだな」
こんなことを考えることもよくあった。

職場の人間関係において、最も出してはならないのは
「怒りの感情」だと私は思っていた。
だからこそ、このマスクでその気持ちを隠し
なんとかここまで我慢してこられたのだと思う。

マスクがなかったら顔に出た気持ちが読まれ、
まぁまぁ大変なやりにくい関係になっていたかもしれない。
マスクは、はっきり意見を言えない自分の為の
「防御マスク」だったのかもしれない。

もちろんマスクの下に隠していたのは怒りの感情だけではない。
悲しいことがあっても、仕事中はそんなことを言ってられない。
その気持ちをマスクで隠してちゃんとしっかり仕事をする。
「自分よりもっと悲しい人がいるのだから私がしっかりしなくては」
と、このマスクの下で気持ちを立て直すのだ。

そんな時、マスクの下に自分だけの世界を感じる。

なんだか守られているような
包み込んでくれているような
不思議な感覚。

とても小さな世界なのだけれど、
他の人は誰も立ち入ることのできない自分だけの世界。

この私だけの小さな世界は
常に自分の味方でいてくれているような感覚だ。

いつも私を助けてくれてありがとう。

こうして今の
私がいます。


ではまた。


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ねじり
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