博士の薬の隠し味(1分マガジン)
白いあごひげを揺らしながら、博士は言った。
「本当によかった…本当に…」
博士は泣いていた。
喜びの涙を流しながらそれはそれは盛大に。
実はつい先程、博士は弟子3号を泣かせることに成功したのだ。
3号が飲んだのは綺麗な青い液体の薬。
彼女は最近恋人に振られたのだが、明るく元気に振舞い
無理をしていた。
だから博士は、彼女にある薬を飲ませた。
悲しみさえ無視してしまうほど疲れた現代人が
「泣きたいだけ泣ける薬」を。
成功した嬉しさに大泣きする博士。
「さて、今度はワシもこの薬を飲んでみるとするかな。」
ゴクゴクゴク…
しばらくしても博士の体に変化はない。
博士はショックを受けた。
「なぜじゃ!薬は完成したはずなのに、なぜワシは泣けないのじゃ!」
博士は自らで大泣きした。
「なぜじゃあぁぁぁ……うわあん!」
すると3号が博士にこう言った。
「大丈夫です博士。薬は完成しました。」
博士は真っ赤な瞳で3号を見つめる。
「でもさっきワシ、泣けんかったぞ?」
「だって博士はいつも、我慢しないで思いきり泣いてますから。
薬の効果は出ないのでしょう。」
実は3号、薬の実験途中に博士の涙を
こっそり入れていたのだった。
いつも我慢せずに泣く、博士の涙を。
***
最後まで読んでいただきありがとうございました!
(まさかの制限ぎりぎり499文字…危なっ!)
小牧さんのこちらの企画に参加させて頂きました。
今回のお話は、ねじり参加二作品目となるのですが
さわきゆりさんのこちらの作品を基に書かせていただきました。
(ご本人には了承を得ております)
この作品はとっても面白い上に、本当にいいお話なのです。
現代人の心にすごーく沁みる作品になっていると思います。
まだ読んでない方はぜひ!
ゆりさん、今回このようにコラボさせていただき
本当にありがとうございました。
とっても楽しかったです♪
そしてこちらはおまけイラスト〜。
お話に出てくる試験管と涙で、作品を表現してみました♪
ゆりさんイラストの件、このおまけイラストで許して下さい( ゚Д゚)!
ゆりさんの企画参加二作品目の作品はこちら↓
もう一つのねじりの企画参加作品はこちら↓
もしよかったら読んでいただけると嬉しいです♡
ではまた。