誰でも使える交渉術! 『視覚に訴る』
交渉において図表やビジュアルを利用することは非常に効果的です。特に複雑なデータやコンセプトを伝える際には、言葉だけではなく視覚的な要素を活用することで、より効果的に相手に理解してもらうことができます。
図表やビジュアルの利用は、交渉において次のような利点をもたらします:
複雑な情報を整理し、わかりやすくする
客観的なデータで説得力・信頼性を増す
相手の記憶に残りやすくする
共通の理解を形成しやすくする
感情的なインパクトを与える
交渉の流れの整理
などです。少し詳しく見てみましょう。
1. 情報の整理と明確化
図表は、複雑なデータや情報を整理し、視覚的にわかりやすく表示することができます。特に、数値データや比較が含まれる場合、表やグラフはデータの傾向や関係性を一目で理解させることができます。
例えば、コスト削減の提案をする場合、コストの内訳を円グラフで示したり、時系列のコスト削減効果を折れ線グラフで見せることで、相手が「どこで削減ができるのか」を視覚的に理解しやすくなります。
2. 信頼性の向上
ビジュアルを用いることで、議論が感覚的なものから、よりデータに基づいた客観的なものになるため、信頼性が増します。図表は「見える証拠」として機能し、相手に納得感を与えることができます。
製品の性能を示すためには、競合他社と比較したパフォーマンスグラフを提示することで、「この製品が優れている」ことを感覚的ではなく、数値的に示せます。
3. 記憶に残りやすい
視覚的な情報は、言葉だけよりも記憶に残りやすいと言われています。また、長い会話やプレゼンテーションの中でも、ビジュアルがあると相手の集中力を保ちやすくなります。
相手が多忙な場合でも、シンプルなフローチャートやイラストで交渉のポイントをまとめたスライドを用意することで、要点が記憶に残りやすくなります。
4. 共通認識の形成
特に文化や言語の違いがある場合、ビジュアルは共通の理解を得るための強力なツールとなります。言語の壁がある場面でも、図やグラフは言葉よりも伝わりやすいです。
海外のパートナーと交渉する場合、市場のトレンドや消費者のニーズを示すビジュアルを活用することで、細かい言葉の違いによる誤解を減らし、スムーズに理解を深めることができます。
5. 感情的に訴る
ビジュアルは、感情に訴えかける力があります。特に、相手に「この問題を早急に解決する必要がある」という印象を与える場合には、インパクトのある画像やグラフが有効です。
環境問題に関する交渉では、気温上昇や海面上昇のグラフを見せることで、緊急性を視覚的に伝え、行動を促すことができます。
6. 交渉の流れを整理しやすい
ホワイトボードやペーパーに書かれた図表は、その場でのブレインストーミングや意見の整理にも役立ちます。共に図を書きながら議論することで、双方の理解を深め、一緒に解決策を模索する姿勢が生まれます。
複数のステークホルダーが関与する場合、関係図やフローチャートをその場で作成することで、各自の役割や関心事が明確になります。
特に、シンプルで要点を押さえた図表を心がけることが重要です。
また、交渉に準備する視覚的効果を利用したものは、プレゼンテーションで使う図表と何か、異なるのでしょうか?
結論として、明確な違いはありません。プレゼンテーションで使う図表やビジュアルは交渉においても効果的に活用できます。
一方で、交渉に特化した視点で見れば、次のような違いがあります。
使うビジュアルの種類
プレゼンテーションの場合:
スライド、グラフ、チャート、画像
高品質で視覚的に魅力のあるスライドが好まれます。デザインやレイアウトが整っており、聴衆の関心を引くように工夫されています。
交渉の場合:
ホワイトボード、フリーハンドの図、メモ
その場で描いた図や、シンプルなフローチャート、関係図が多用されます。リアルタイムのアイデア共有や議論をサポートするため、即興性が重視されます。
プレゼンテーションでは、視覚的なイメージを狙った画像や動画も大事ですが、交渉の場合は、より具体的で議論をサポートするための図表や、その場の議論に合わせて描くホワイトボード上の言葉や図表も効果的なビジュアルに含まれます。
特に交渉では、どのような議論に展開するか、ある程度予測し、準備をします。その場で即興で行う部分はありますが、それもゼロからでなく、ある程度頭の中で準備をし、視覚的にどうやって相手に理解してもらえるか、納得してもらえるかを事前準備します。交渉は何をおいても、準備です。
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