ひだまり日和 #5
◆NEFNEに関わる人たちによる自由連載《汽水域の人々》
雑貨屋&フリースペースのお店「NEFNE」で交わるひとびと。多様な執筆陣がリカバリーストーリーをはじめ、エッセイ、コラム、小説など好きなように書いています。
私には、一人暮らしが必要なんだって
初めて教えてもらったのは、もう何年も前の事
「今の環境に居たら、君の人生がダメになる」
私は、自分の家庭環境の複雑さを
人に教えてもらうまで、気づかなかった
「普通、親は子供の前で、死にたいとか言わないよ」
そう、前に通っていたカウンセリングの先生が言った
その時初めて、「そうなんだ!」って思った
少し、驚きもあったと思う
だって、言われるまで知らなかったから
「そうか、私は大人の役目を背負わされていたんだ」
そうして知った、アダルトチルドレンという言葉
調べれば、調べるほど
自分の中の生きづらさの原因が
解き明かされていく様な気がした
そして、自分と似たような環境に居る人達が
私以外にも、たくさん居る事を知った
でも、初めて自分が
アダルトチルドレンである事を知った時
私は、人には話せなかった
いや、正確には段々、話せなくなった
「家族に不満を持つなんて」
「ここまで育ててもらったのに」
何故だか、罪悪感を感じて
周りに話す事を躊躇った
「複雑な家庭環境で、苦しかった」と
誰かに打ち明ける事が、悪い事の様に感じた
でも、三家クリニックさんと出会ってから
主治医の先生や、ソーシャルワーカーさん
デイケアの担当のスタッフさんが
初めて、私の辛さを肯定してくれた
「この人達になら、話せるかもしれない」
そう思って私は、家族の事を話し始めた
母が精神的に不安定で、度々、死のうとする事
祖母が認知症で、度々、癇癪を起こす事
母と祖母の為に自分を犠牲にしている事
慰め役、支え役、小さなヒーローをしてきた事
そのせいで、母と祖母から特別扱いされている事
それが原因で、姉から嫌われている事
誰も話を聞いてくれなかった事
今もずっと、耐えている事
ぽつり、ぽつりと、一つ、また一つ
勇気を出して、話した
先生達は、肯定してくれた
「よく頑張ったね」と、言ってくれた
「そうか、私はこの言葉をずっと待っていたんだな」
そう思って、少し、気持ちが楽になって
肯定してもらう事の大切さ
思いやり、優しさの大切さ
大事な事を、たくさん教えてもらった
私は今、少しずつ、前に進み始めている
止まっていた歯車が、動き出したみたいに
少しずつ、自分を取り戻している
それが、何より嬉しくて、自然と笑顔になる
この複雑な環境の中から
少しずつ、外に出ようとしている
まだ、時間はかかるかもしれないけれど
一歩、また一歩、慌てずに
何時か、この環境から、少し距離を置いて
自分の人生を、生きれるようになったら良いな
そうなれるように、もう少し頑張ろう
小さな私を、頑張り屋で、でも泣き虫な私を
今度は、大人の私が、受け止めてあげる
小さな私と、手を繋いで
これからは、一緒に歩いて行く
知らない事、たくさん知ろう
色んな世界を見よう
ワクワクと、ドキドキと、ほんの少しの不安
でも、良いんだ、それでも
どんな自分でも、きっとこれからは、大丈夫
きっと、好きになれるよ
そう、小さな私と、頷いて
ニッコリ笑顔になって、また歩き出す
ここから始まる、また、始まる
私だけの、ストーリー
【今回の執筆担当者】
こなたなこ/自閉症スペクトラム、社会不安障害、HSP等の病気と日々向き合い、幸せ探ししながら毎日頑張ってます!よろしくお願いいたします!
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