トゲアリトゲナシトゲトゲはもうトゲトゲでいいのではないか⁉︎ 〜本来の名前とちがいます編〜
◆NEFNEに関わる人たちによる自由連載《汽水域の人々》
雑貨屋&フリースペースのお店「NEFNE」で交わるひとびと。多様な執筆陣がリカバリーストーリーをはじめ、エッセイ、コラム、小説など好きなように書いています。
生物によっては、本来の名前より、ちがう名前で呼ばれることのほうが多い。なんてことが、あったりなんかしちゃったりします(笑)
たとえば、白と黒のツートンカラーの人気者といえば「パンダ」ですよね。このパンダの正式な名前は「ジャイアントパンダ」です。でも「ジャイアントパンダ」って、最近あまり耳にしませんよね。そもそも「パンダ」と言えば、茶色で、小さい「レッサーパンダ」のことを指していました。
そう、「レッサーパンダ」のほうが、先に発見されたのです。
その後、白と黒のツートンカラーの「パンダ(レッサーパンダ)」によく似た動物が発見されました。「パンダ(レッサーパンダ)」より、大きかったので、「ジャイアントパンダ」と名付けられました。
しかし、その愛くるしさから「ジャイアントパンダ」の人気はどんどんあがっていき、ついには「パンダ」といえば「ジャイアントパンダ」をさすようになってしまいました。
そして、本来「パンダ」であったはずの動物のほうが、「小さいパンダ」という意味の「レッサーパンダ」とよばれるようになってしまいました。
「『レッサーパンダ』言うな。いや、わしのほうが、先、見つかっとんねん。責任者出てこい。」
レッサーパンダの、そんな「心の声」が聞こえてきそうです(笑)。
ところで、昔のある哲学者が、「人間は、考える『葦』である。」という言葉を残したことは、有名ですよね。
この「あし」とは、川辺などに群生している、すすきに似た植物のことです。ひょろ長い「あし」は、風がふくとすぐに、ゆらゆら、ゆれてしまいます。「人間は、この『あし』のように、弱い存在ではあるけれど、考えることができる。考えることこそ、人間の最大の武器である。逆に言えば、考えることをやめてしまったら、人間はただの弱い『あし』になってしまう。さて、君はどうするかね。」この昔の哲学者は、現代の私たちに、こう問いかけてくれています。
「考えることをやめなかった者だけが、成長しつづけることができる。」こんな時代だからこそ、このような姿勢が、求められるのではないでしょうか。
ちなみに「あし」と「よし」はまったく同じものをさします。
「あし」が「悪し」を、連想させるということから、縁起をかついで「よし(良し)」と言いかえられるようになり、それが定着していったと言われています。今では、「あし」を使った製品であるにもかかわらず、「あしず」ではなく「よしず」って言ったりしますよね。
「わしが、せっかく『あし』って名前つけたのに、かってに呼び方かえてしもうてからに…。どういうこっちゃ。」
そんな「あし」の名付け親のぼやき声が聞こえてきそうです(笑)
【今回の執筆担当者】
こにしいちろう/さすらいのソプラノサックスプレイヤー&孤高のはり絵作家。
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