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SeriousSam2をリメイクして欲しい話


 SeriousSamシリーズを「敵の大群を蹴散らす爽快FPS」と紹介される事にモヤモヤするファンは多いだろう。シリサムの魅力は爽快感の強い戦闘と、計算し尽くされたレベルデザインの双輪だからだ。戦闘で得られる気持ち良さがエンディングまで枯れない様、敵やアイテムの配置と配分が計算し尽くされている。だから消耗と報酬が割に合わないシークレットバトルにまで、(戦闘そのものを報酬と認識して)プレイヤーは飛び込んで行く。



 2が批判されてきた理由は、その『配置配分』の多様さがコンソール合わせで失われたせいだとされている。確かにThe Second Encounterの様な奇想天外を極めたシチュは失われ、正面から押し寄せる敵を迎え撃つシチュが中心になった。伴って、戦い方のセオリーにも大きな違いが生じている。



 2以外のシリーズ(スピンオフ除く)において『避ける』という動きは、多くが敵の一群を一塊と見做して迂回する様に動く事を意味する。Kleerラッシュが端的な例で、逐次追加されていくKleer個体をに統合しながら削り切る動きが求められた。対して2の『避ける』は、敵や弾幕を掻い潜る様にチョイ避けを続ける事を指す場合が多い。主人公は他作よりヘルスが多い代わりに足が遅く、小動物の様なチマチマした情けない動きをする事になる。絵面とお話のテイストが大幅に変化した事も相まって、2が異物であるという感覚はとても強い。



 だがそれは旧2作と方向性が違ったのであり、完成度が低かったのでは無い。シチュの多様さが損なわれた分、戦闘そのものは高い密度を持たせてあり、避ける、狙う、撃つ、を繰り返す事に関してはシリーズで最も忙しい戦闘を確保している(無論、敵やアイテムの配置配分もしっかりしている)。こと戦闘の密度に関する限り、2と同等の物が有るのはThe Last HopeSiberian Mayhemぐらいだ。(3の最終チャプターは長いだけで密度は左程高くなく、4は敵の数こそ多いがシチュエーション自体はコンパクト)



 そして何より、この『正面からの敵を迎え撃つゲーム』化の傾向は2に限った話ではない。むしろそれ以降全て、初期二作HD版、3、4、全てでその傾向を強めている(2に比べると傾倒がだいぶ緩やかなのは確かだが)。ロケットランチャーの(拾える)弾数やミニガン弾の消費速度の低下はそのための調整だ。Kleer自体は強化されたにも関らず難易度が下がっているのは、これらの調整によって『迎え撃つゲーム』としてのレベルデザインが重視される様に変化したからだ。そもそも特異だったのは旧初期2作の方で、『正面から迎え撃つゲーム』と『背中に目をつけて乱戦を制するゲーム』の内、後者の比率が特に大きかった。



 2を切っ掛けにこの比重が前者へと傾く事になったが、其れに言及する人は余り見掛けない。2に最も近いレベルデザインの意趣を持つのが、ファンメイドが元のSiberian Mayhemであるにも関わらずだ。ならば、今Croteamがすべきなのは2のリメイクでは無いか。「お前達が本当に求めてた物はコレだ」と。Kamikazeの怖さは接近起爆を許した時にダメージを回避出来ない事であり、足の速さでは無い。Kleerは弱体化していたが、その性質は分解されて別の敵が運用していた。異物感の奥で、実はプレイヤーが求めていた物を一つ一つ拾い上げていたのが2だった。







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