WILD HEARTSに9700円払うべき人
長々期的に遊べる事よりも、刹那的な楽しさが中期間持続する事を望んでいる人向けのゲームではある。本作が『原石』と言われるのは、今のモンハンの様な長々期的にプレイヤーのモチベを持続させるノウハウが無いと言うニュアンスが大きい。では、具体的にどんな人なら買いか。
傀異討究に飽きて来た人
狩りゲーとしてやや難易度が高いが、経験者を弾く程でも無い。傀異討究までサンブレイクを進めた人に丁度良い難しさになっており、それ位の腕があれば進行のサクサク感とそれなりの手応えが両立する。味がしなくなった傀異回しを一時忘れ、「モンハンの経験」というチートを携えて別世界に転生、何かやっちゃう体験が出来る。
気を付ける冪はクリア重視の場合。装備作りに没頭すれば3ケタ時間も融かせようが、突貫すればメインは土日休みで終えてしまえる。本編だけ履修をと言う場合、1600円(EAPlayPro)で済ませるお買い得感が勝るだろう。先々こそ楽しみなものの現時点では粗削りだし、何より新作ラッシュの只中だ。9700円に納得が行く迄、アプデが貯まるのを待つのも良い。
PSP世代の人
モンハンに畑システムが登場した時、「こんなのヌルゲーになるやん」と嬉しい様な悲しい様な複雑な気分を味わった人達にもお薦めだ。ちょうどP2~P3と同じ位の戦闘外の一手間が盛り込まれている。W以降減少しているこの手間に今になって郷愁を拗らせている人達をニヤニヤさせるだろう。ガチのライフシミュレータとは違う、楽しさを延命するための面倒臭さが戻ってきた。
戦場の設置物を好きに作れるシステムは、地形由来のストレスを一つ一つずつ上書きして行く楽しさがある。これはガルクと翔蟲が二段飛ばしで消化してしまった面倒臭さを解消する楽しみだ。『手間』や『ストレス』と言う名のヴィランを成敗する楽しみのため、此度はWILD HEARTSが快適さのチキンレースにリセットを掛けてくれた。鮮度の高い郷愁を素直に頂いておこう。
現Team NINJAの作品が好きな人
開発はω-Forceの筈なのだが、本作の戦闘は現チーニン陣営のテイストを強く持っている。爽快さのタイプや高い被ダメによる緊張の確保は討鬼伝よりも仁王を連想させる。攻撃が来ない場所へ移動するよりフレーム回避ですり抜ける場面が多く、狩りゲーのレベルデザインにソウルライクのプレイ感を盛り込んだゲームという感覚が強い。
そういえば最近はω開発にもチーニンが出張っていた。仁王やゼルダ無双あたりを好いていた人は、(ジャンルの違いはあるにせよ)同じ期待のままWILD HEARTSに手を出しても満足出来るだろう。最近スクエニがアレなせいか、「トレンドを取り込んだ上で、ちゃんと面白い物に仕上げるだろう」という安心感はコエテク陣営が独占している。スマホゲーは詳しくないが、例のドラクエバトロワも「コエテクの事だからそこそこ遊べる物にしてくるんじゃないか?」と傍目に思っている。運営を握るスクエニがどう判断するかは知らないが…
共通する問題点
面白い事は大前提なのだが、「どうせお前らモンハンもダクソも経験済みだろ?」と言わんばかりに細かい不満が放置されているのが難点だ。UIは不便だし、ロックオンカメラは余り敵を追尾してくれない。総じて、開発力をゲームの美点に極振りしており、至らぬ点にはプレイヤー側の知識と機転を求めてくる。
真新しい武器セットのチュートリアルも親切とは言い難く、「やらせたい事、判るよな?」とばかりにコマンド表だけ出される。超解放の説明も無しにチャアクを握らされた気分だ。有料デバッカーになる謂れも無いので、判り辛い事はサッサと動画で補完してしまう事をお薦めする。