在りし日のUBI(Tom Clancy’s The Division 2)
オープンワールドのTPSだが、実は死にゲー好きに薦めたいゲームだ。淡々としながらも緊張感が確保された戦闘は、FARCRYやアサクリとは違う窮屈さを特徴としており、これが独特の中毒性を持っている。今はUBIのゲームと聴くだけで嫌気が刺す人も多かろうが、UBIが輝いていた頃に出た遺産の一つだ。
自分は秒でアーマーが剥げるのに敵はクソみたいな重装甲。プレイヤーは不用心にカバーから体を出した瞬間にアーマーが剥がれ飛ぶのに、敵は1マグまるごと撃ち込んでもピンピンしている。動きも積極的で、プレイヤーを囲む様に移動を続けて常に十字砲火をしかける布陣を敷こうとする。エスト瓶は3~4回しか無い。質も量も敵が上で、最初は「何だこのクソゲーは?」と言いたくなる。
だが状況をひっくり返すべく、障害物だらけのマップをネズミの様に這い回り、常に敵の射程と射線を意識して戦うと途端に面白くなってくる。生き残るために工夫を凝らす小動物の様な挙動を強制され、その窮屈さがクセになる。無駄な動きも、過度の慎重さも即被ダメに繋がる、その身動きのとれなさがピリピリと心地よい。この楽しさは、NinjaGaiden1系の楽しさに近い。無為に動けば狩られ、ガードを固めれば投げ技で絡めとられる。常に進退窮まっている中を切り抜ける楽しさがある。
だが同時に、特段に高難易度なゲームでは無い。死にかけると一時的に攻撃が来なくなる等の工夫がされており、死にゲー風味の緊張を演出しつつも全体としては地道にキャラを育てていくゲームになっている。Remnantの様な純然たるソウル系とは違う。「舐めプしてると死ぬ」ぐらいのカジュアルさで死にゲーのノリを味わいつつ、装備更新に励むハクスラだ。
実際慣れてくると、敵の射程と挙動を把握して一方的に蹂躙出来る様になる。そう成るまでに100時間は遊べるだろうが、それ以降はハクスラゲーが全面に出る。ウリの窮屈さが薄れた所で『クリア』とするか、永遠のトレハンに漕ぎ出すかは人によるだろう(ロンチから6年近いが、今でもシーズン毎にコンテンツが追加され、Diabloの様な長々寿のゲームになっている)。何れにせよ1500円で100時間の緊張と爽快は約束される。
Divisionシリーズは他のUBIオープンワールドと毛色の違う、特異なプレイ感を持っている。現在、スピンオフの開発中止を経て、ナンバリング作とF2P作が開発されている様だ。嘗てのMassiveとUBIが残した遺産といえるIPだが、当の現UBIが今後どうなる事かは判らない。正直、買収されて中華資本が誇る美少女キャラ塗れになったアサクリとかも観てみたかった。エイヴォルは男の娘な。