見出し画像

美術館レポ|そごう美術館 ミュシャ展 マルチ・アーティストの先駆者

人生初のミュシャ展へ。
ミュシャの絵はコスメとのコラボなどで見たことがあったものの、どっぷり浸るのはこれが初めて。
横浜駅の百貨店でアクセスも良く、天気の良い日にお出かけしてきた。

ミュシャ展 マルチ・アーティストの先駆者
会期:2024年11月23日(土・祝)~2025年1月5日(日)
場所:そごう美術館(そごう横浜店 6F)
最寄駅:横浜駅
入場料:一般 1,400円 

入り口から圧巻の迫力。美しい。

ミュシャは、女優サラ・ベルナールのポスター(noteトップ画像)を代表作に一躍有名になった画家。その作品は「マルチ・アーティスト」の名にふさわしく、生涯で手掛けたジャンルは多岐にわたる。(ごあいさつより)

今回の展示では、ミュシャがポスターで有名になる前に書いていた挿絵や雑誌の表紙などをスタートに、ポストカード、装飾パネル、ポスター、パッケージデザイン、切手、紙幣など数多くの作品が展示されているほか、肖像画や素描など、ポスターのイメージとは異なるミュシャの作品にも触れられた。
最後にはミュシャの生涯を紹介する動画も鑑賞でき、とても勉強になった。

ミュシャのことは何も知らず、まずはごあいさつを読んでお勉強。

私は平日の昼間に行きましたが、思ったより混んでいた印象。じっくり作品を見たいときには少し順番待ちになることも。
とはいえ、途中で休憩できるソファ(ポスターの展示室には真ん中に大きなソファがあり、ポスター全体を引きで見渡せてよかった!)もあったり、気になった作品は戻って見たりできるくらいの混雑具合だったので、十分に味わって鑑賞できた。

ミュシャの絵を見ていたら、こちらまで楽しい気持ちになっていた

全体を通して一番感じたことは、ミュシャは絵を描くことが本当に好きで、心から楽しんでいたんだろうな、ということだった。

それぞれの絵のあまりの細やかさ、密度、色合い、美しさ・・・その全てから丁寧さが伝わってきて、この作品量をこの精度で作り出したことにまず驚かされた。
最初はすごいな~くらいにしか思っていなかったのが、じっくり見ていると、本当に絵が好きで描くのが楽しくないとこの量は描けないよな、と感じ始め、最終的には、「あ、ミュシャはずっと楽しんで描いていたんだ」と、ストンと腑に落ちる瞬間があった。

ミュシャの代表作 サラ・ベルナールの演劇ポスターたち

こんなに大変な絵を描けるってすごいな・・・と苦労にばかり目が向いてしまっていたが、見るにつれて、”自分自身が信じている美しいもの”を表現したい、という気持ちが不思議と伝わってきた。
それを全身全霊で表現されている絵たちに触れて、気付くと自然と笑みがこぼれていた。

なんというか、自分がすごく納得のいくnoteや手紙などを書けた後の満足感というか、幸福感のような気持ちを、ミュシャも絵一つ一つに感じていたのではないかと思えたのだ。

連作装飾パネル 《一日》
朝の目覚め、昼の輝き、夕べの夢想、夜のやすらぎ
私は昼と夜の絵が特にお気に入り


(実際にはもちろん苦労もたくさんあったと思いますが)見ていて楽しさが伝わってくる絵というの初めてで新鮮だった。
そのおかげで、鑑賞している私もとても楽しむことが出来た。

日常生活で触れられる”ミュシャ”

身近なものへのデザイン提供や挿絵も面白かった。
一目見れば”ミュシャ”と分かるそのアイデンティティと完成度、美しさにまたしても驚かされる。

当時の方のように、お菓子のパッケージや紙幣など、日常の様々な場面でミュシャの絵に触れられていたら、アートへの関心やその審美眼も全然違うものになったかもしれないと思った。

左:ビスケットの缶のパッケージ
右:化粧品・香水のパッケージ
左:紙幣(娘さんがモデル。美しい・・・)
右:雑誌の表紙

広告では、商品を前面に出すのではなく、それを嗜む女の人をメインに描いているのも印象的だった。
ミュシャの描く美しい女性と華やかさに彩られれば、どんな商品も魅力的に映ってしまいそう。

左;たばこの広告
右:ビールの広告
私がお店の人だったら、このポスター飾りたい

もし自分がこの時代に生きていて、こんなポスターや広告がいつも初見で見られると思うと、とてもワクワクする。ミュシャの新作が出るのを楽しみにしている人はとても多かったんじゃないかと思った。


その他にもプライベートな作品もちらほら。
結婚式の招待客にこの絵を贈るなんておしゃれすぎる。

素描 《目》
結婚式の招待客のために描かれたもの
写真:ミュシャと奥さま(結婚式)


ポスターのような絵が印象的なミュシャだが、その他にも沢山の絵画が展示されており、本当に絵がうまいんだな・・・(当たり前だ)と実感しました。
(肖像画の作品もあり、本当に絵・・・?と何度も見てしまいました)

素描 《パンを食べる少年》
鉛筆の絵に対し、白のハイライトがかっこいい。


展示のジャンルがあまりにも多岐にわたるので、こんなに色んなことに使用されて嫌じゃなかったのかな?という気持ちで少し調べてみると、ミュシャは「芸術をすべての人に届けたい」という思いがあったことを知り、とても納得がいった。
それを体現している作品たちに実際に触れられて、気付きも得られて、良い時間を過ごせた。


帰り道、そごう百貨店から駅に繋がる地下2階を通ると、そこはデパ地下。
たくさんのお総菜屋さんが目に入る。
生野菜のサラダやマリネ、焼物・煮物、そしてスイーツ。
そのどれもが本当に美しく、これもアートだよなぁとしみじみ感じたのでした。


いいなと思ったら応援しよう!