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イヤなきぶんをやっつける! (ころべばいいのに/ヨシタケシンスケ)

慣れない在宅勤務に苦しんでいる時、母から一冊の絵本が届いた。

「たまたま本屋さんで見つけて、面白そうだなって思って買って読んでみたら面白かったの。所々にあなたがいるってクスってなるのよ。よかったら読んでみてね。」

そうLINEが来て、届いたのはヨシタケシンスケさんの「ころべばいいのに」。
私は失敗を極力避ける完璧主義のため、あぁ、母は私にもっと失敗していいんだよと伝えたくてこの本を送ってくれたのかなと思った。

当時の私は、慣れない在宅勤務と苦手な仕事に追われ、精神的に結構疲弊していた。
いろいろ頑張ってやってみるけどなかなかうまく進まない。でも手の抜き方が分からず、全部全力でやる。その結果毎日くたくた。
会議は基本音声のみで相手の顔が見えないため、画面の向こうでどんな表情で聞いているのかもあまり分からない。それも不安だし、話しながら相手の感情などを色々想像してしまって、余計に頭の中もぐるぐる。
気持ちで頭が疲れてしまっている感じがした。


届いた絵本を開いてみたら、冒頭から思ってた内容と全然違っていてびっくりした。

わたしには きらいなひとがいる。
なんにんか、いる。
どうして あんなこと いうんだろう。
じぶんがされたら イヤなことを、どうして ひとに できるんだろう。
みんな いしにつまづいて ころべばいいのに。

(絵本 ころべばいいのに ヨシタケシンスケ)

ころべばいいのにって、自分じゃなくて嫌いな人に言ってたんだ!

私は物心ついた時から、人を嫌いになるのが苦手だった。極力誰かを嫌いにならないように意識して生活している。
誰かを嫌いになると、その人のことを思い出す度にイヤな感情がついてくるし、なんだか人を嫌いになっている自分がイヤなやつなような気がして、自分も苦しくなる。その気持ちを避けたくて、なるべく嫌いゾーンに入り込まないように気を付けている。

絵本の主人公である女の子も人を嫌いになる時の感情は同じのようで、自分の頭の中にいる嫌いな人のことやイヤな気持ちを、どうやって解決するか、一生懸命考えている。

その方法が子供らしくてとても可愛らしい。でもどこか分かる気持ちがたくさんある。

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そっか、こういう風に考えればいいのか。
確かにそうかも。
女の子が思い付いてくれる方法をふむふむと読み進める。

その中で自分に新たな気付きを与えてくれる言葉があった。

‥‥‥そうだな。イヤな気分って たとえるとしたら どんなかんじかな。

「とつぜんの どしゃぶり」みたいなものかしら。
だって じぶんでは どうしようもないもの。

(絵本 ころべばいいのに ヨシタケシンスケ)

”じぶんでは どうしようもない!”
そうなのか。
イヤな気持ちって、発生しないように自分でコントロールできると思ってた。

でも改めて考えてみると、これまで私がやっていたことって、自分の中に発生したイヤな気持ちをなかったことにしたり、ぐっと押さえ込んでいる行動だったのかも。
イヤな人や、イヤなことっていつ巡り会うかわからないものね。。。そっか。。

本を読み進めていくうちに、実はみんなこうやってイヤな気持ちを抱えているってことが見えて、少し楽になった。いつも平気そうに見えている人もきっとそう。
イヤな気持ちはどしゃぶりの雨。その上で、みんな傘をさしたり、安全なお家で快適に過ごしたりしている。
私も自分が元気になれるもの、快適になれるものを、いつでも使えるように用意しなきゃ!

読み終わって母に連絡をすると

「見えないだけで皆んなおんなじだよね。難しいかもしれないけど、気楽に生きていこうよって気持ちで送ったよ。」と。

ありがとう、お母さん。ちゃんと気が楽になりました。


自分が持っている感情が、自分だけじゃないって気付けることってすごく勇気づけられる。現実で会えたらもちろんそれは幸せだけど、本の中で静かに出会えるのもとても素敵だし、力になる。

本の中に自分を見つけたくて、私は本を読んでいるんだと改めて気付かされた一冊。
大人におすすめの絵本です。ちょっと疲れた時に、ぜひ:)



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