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【レポ】東京都写真美術館 アレック・ソス 部屋についての部屋

前回の「現在地へのまなざし」に引き続き、東京都写真美術館で開催されている「アレック・ソス 部屋についての部屋」の感想と気付きをまとめました。(写真計10枚)

▼同時開催されている「現在地のまなざし 日本の新進作家 vol.21」のレポはこちら

アレック・ソス 部屋についての部屋
開催時期:2024.10.10(木)—2025.1.19(日)
場所:東京都写真美術館(恵比寿ガーデンプレイス内)
最寄り駅:恵比寿
料金:一般 800円(現在地のまなざしとのペア券で1割引き)

アレック・ソス(1969-、アメリカ・ミネソタ州生まれ)は、国際的な写真家集団、マグナム・フォトの正会員であり、生まれ育ったアメリカ中西部などを題材とした、写真で物語を紡ぎだすような作品で、世界的に高い評価を受けてきました。
本展「部屋についての部屋(A Room of Rooms)」には、初めて出版されたシリーズであり、初期を代表する〈Sleeping by the Mississippi〉から、今秋刊行の最新作〈Advice for Young Artists〉まで出品されます。30年に及ぶソスの歩みを単に振り返るのではなく、選ばれた出品作品のほぼすべてが屋内で撮影されているように、「部屋」をテーマにこれまでのソスの作品を編み直す、当館独自の試みとなります。

公式HPより

他人の目を借りて人の生活をのぞき見る

初めての写真の美術館。
まず感じたことは、絵と違って、表現者の目で直接見てる世界をそのまま覗いているかのような感覚が不思議だった。
撮影した写真は加工されたり切り取られたりしているのかもしれないけど、絵よりもずっとリアルに作者の世界を共有されている感覚があった。旅行に行くのとはまた違う形で現場に連れて行かれていて、しかもその視線は自分のものではない。

普段スマホで写真を見ていてもそのような感覚にはならないので、美術館だからこそ味わえる写真のスケールや場の雰囲気も関係しているのかもしれない。

その人にしか出せない表情と視線

「部屋についての部屋(A Room of Rooms)」というテーマで撮影された写真たちは、そこで生活する人たちの写真が多く展示されていた。
幸せそうに微笑む顔、遠くを眺めながら物思いにふける顔、どこかこちらを射るような強い視線。
そのどれもが撮影者によって引き出されたものだと思うと、その撮影シーンに想像を膨らませる。

どんな声をかけて撮ったのだろう?
どんな場面でこの表情を見つけたのだろう?
ソス自身はどんな表情で撮影しているのだろう?

私は以前、運良くプロのカメラマンに撮影していただける機会に恵まれたことがある。
その方は普段からアイドルの写真を撮影しているなかなかの凄腕の方で、撮影中のこちらを和ませるような会話術とその距離の縮め方にとても驚かされた。
会話しているだけで心地よく、私ってこんな表情で話をしているんだとレンズを通して初めて自分の顔を知った。

被写体の作り出す表情はその撮影者によってしか引き出せないものであり、それが写真家自身の作品の色になっていくのかもしれない。
ソスの写真は、カメラを通じて被写体の中にある”自身がもつ強さ”のようなものがにじみ出ている作品が多いような気がした。

自分の興味の矛先を知る

写真は全部で60点ほど展示されていたが、自分が記録した写真を見返してみると、人の写真が多いことに気付いた。
テーマ柄そもそも人の写真が多かったのはあるが、その中でも自分が「いいな」と思って撮影したものは、人の表情が見て取れるものが多く、自分は人の顔(表情)やその奥にある感情に興味あるのだと知った。


全体を通して、絵の美術館よりも感覚的に見れた(見ながら考え込みすぎない)ことと、展示量や会場の大きさ含め、サクッと楽しめる感じがよかった。
当日はアレック・ソスと現在地へのまなざしの2つの展示を見たが、どちらも疲れずに楽しむことが出来た。また、世界的に有名な写真家と新進作家(複数)という対照的な作品を同じタイミングで味わえたことで、それぞれのアーティストの個性がより際立って感じられて面白かった。

ぜひまた次の展示が始まったら足を運びたい。

恵比寿の街と行き交う人のおしゃれさにも触れられて楽しかった


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