白洲家の晩ごはん 牧山桂子
白洲次郎、正子の娘、牧山桂子さんが語る白洲家のごはんの光景。
私が読んでしびれたのは辛辣な語り口調でスッパリ言い切る、キレの良さ。
笑ってしまった。
白洲次郎、白洲正子の生き様を著者の語りで知ることができる。
日本人からみたら型破りな2人だ。
かっこいいな。と思う。
綺麗な武相荘の四季の木の芽や竹の子が土の匂いと共に香ってくるようだ。
器に凝った正子。
コレクションの写真が圧巻。
菜のおひたしからコロッケ、思い出の横川の峠の釜めし風土鍋ごはん。
ホタテのクリームソースがけのページで、
父のやり残したことで(明け方までオムレツを食べながらシャンペンを飲んで隣に美女がいれば言うことなし)というのがあったそうだ。その父に対して「やってられません」とひとこと。グッとくる。
ハイカラにタンドリーチキン、スペアリブ、リゾット、バナナの生ハム巻き!
クレープグラタン!クレープのグラタンなんてはじめて見た。レシピ付。
ムース・オ・ショコラのコメント
「これも両親のお気に入りのデザートでした。体に悪そうです。」でまた笑う。
四季を身体で感じ豪快かつ繊細、強さ、美、生命力がひしひしと伝わってくる。
白洲次郎とローストビーフ。似合う。
長い西洋暮らしでそれぞれテーブルマナーが次郎はイギリス式で正子がアメリカ式というのも面白い。
住んだ国のマナーを身に着けたという事なんだろう。そういうのって別世界。
私は先祖代々、箸か手づかみで飯を食ってきた。文化から程遠い山奥の暮らししか知らない。父母が語る思い出は家で養蚕をしていて、桑切りに行ったことや集団就職で苦労して夜学をでたことや、山で舞茸採りに行って熊に出くわしそうになったことや…それはそれで良い話ではあるが切実に生きる必要に迫られた日々でゆとりを持って己を磨く事すら考えもつかない日々だったと感じた。
自分が生き延びるのに精一杯で他者に目を向ける余裕がない。
父母の言葉は他者から切り離され孤独に彩られていた。
白洲家の晩ごはんいい本です。
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