段階別、英語ができない子への指導法 フランシス・ベーコンのイドラ論で見る英語の学習法の勘違い
フランシス・ベーコンのイドラ論をご存知でしょうか。
種族のイドラ 素朴な勘違いによる誤解 普通に考えたらそうじゃね?
洞窟のイドラ 個人の体験に囚われた誤解 俺はこうだったから
市場のイドラ 権威主義 マニュアルや偉い人が言ってるから
劇場のイドラ 附和雷同 みんなが言ってる、やってるから
英語の勉強法においてよくありがちなのが、英語が好きな人が英語のできない人へアドバイスを送る時に、自分のやってきたことや感じてることを押し付けることです。英語ができない生徒はほぼ例外なく英語が嫌いな子ばかりです。故に、
「英長文をたくさん読むといいよ。大したことじゃないさ」
「英語なんか簡単じゃないか。早くしろよ」
洞窟のイドラパターン。自分の経験を過度に過信し他者に押し付ける。
「英単語や英文法をしっかり理解して一文一文をきちんと読み込もう」
「鉄緑会の先輩の言うとおりにやるべきだ。思いを踏みにじることになる」
市場のイドラパターン。よくあるマニュアルを過度に過信するか、わかりやすい偉い人という権威を利用して、他者に押し付ける。
「英語の歌を歌いながら楽しく伸ばそう。さあ一緒に歌おう」
「英語を好きになれば、成績だって上がるよ。皆と好きになろう」
劇場のイドラパターン。空気や雰囲気で、または好き嫌いで全ての判断基準を委ねようとする。
このような英語アレルギーを助長するようなアドバイスを平気でする英語教師は多いです。なぜなら、自分と他人が同じだと信じて疑わないし、また、そうでなければならないとどこかで信じ込んでいるからです。
英語の学習法は大きく分けて四工程です。
まずは「アルファベットへの慣れ」。この段階では写経が重要になります。
最近は小学校で英語の指導をしているのでこの段階でつまづく子はあまり居ませんが、バスケットボールやデザイン程度の単語の綴りを一回で把握できないようであれば、写経は必要です。なぜならば、この段階の子に英文法の授業などしても、無意味だからです。(教えられればできたはずパターン)
漢字を覚えられない小学生と同じ状態です。漢字を覚える時にどうしていましたか、教えてもらって記憶をしていませんでしたよねってことです。まずは、たくさん書いてアルファベットを手に馴染ませなさいってことです。習うより慣れろ。
次に「中学文法の理解」。教師がよくいう「文法を勉強しろ」はこの段階。
BE動詞、一般動詞、代名詞、疑問詞、進行形、過去、未来、助動詞、不定詞の三用法、比較、受動態、完了、その他不定詞、分子の形容詞的用法、関係代名詞が中学校の範囲です。これに高校の関係副詞、強調、省略、倒置を理解すれば、長文読解が可能な英語力になります。
この段階でどこかが抜けているとその後、どんだけ勉強時間を積み重ねても、学力が伸びない可能性もあります。そこが抜けているという状態ですね。高校生や社会人で中学文法が理解していないこともままあります。でも、中学校の教材に戻って復習するのは大抵の人が嫌がりますよね。(みんながやらないからやりたくないパターン)
因みに、ここを終わった子は辞書さえあればの条件付きで、東京大学の国立二次の問題も解くことが可能(合格点が取れるとは言ってない)です。
そして、「辞書レベルの単語力と参考書程度の英文法をまずは身につけて」と勘違いしてか、単純に次の作業を嫌ってなのか、ここで止まる人が多数発生します。ちなみに、これは高三や浪人、社会人レベルでも発生します。次の作業とは…
三に「長文読解」。みんな大嫌いな長文読解😅気持ちはわかる
この段階になるととにかく量がものを言います。質は最初は求めないほうがいいかもしれません。が、性格的にいい加減なことが嫌な人はやや難しい文章を精読していくのもいいかもしれません。
この段階はある程度、経験のある指導する教員が見たら、サボってたら一瞬でわかります。そのくらい量が重要視される段階です。
例えば、長文の場合、Z会の「速読英単語」シリーズを中学、入門、必修の全てで大体二百の文章を読んだことになります。これだけこなせば誰でも相当な長文読解力になるとご想像できるかと思います。
また、精読の方ならば桐原書店の「英文解釈の基礎」シリーズの入門と基礎で国立二次レベルの下線部訳に対応できる力がつくと容易に想像できるかと思います。
簡単な文章を出せば「簡単だから意味がない」と言い、難しい文章を出せば「難しくて読めない」と言い、結局読まない言い訳を探す人が実に多い。簡単ならば速く正確に読めばいい、難しければゆっくりじっくり読めばいいと言うだけの話ではないでしょうか。(コスパがベストの勉強じゃなかればやらないパターン)
四に「単語力」。最後の砦だけど、実は経験値次第。
よほどの博覧強記の人か異常なレベルの根性の持ち主ならば別ですが、古文単語同様に、英単語は「文章の中で出会った生きた英単語」でなければなかなか記憶に定着できないです。ゆえに、長文読解だけをすれば良いという意見もあり、半ば賛同です。そのくらい「生きた英単語に触れる機会を増やす」ことは重要です。
例えば、鉄緑会の「鉄壁」は例文が大量にあるので、一つ一つを丁寧に訳すだけでも結構いい経験になると思います。また、別に他の手段であっても同様の経験になるのならば、手段は問う必要はありません。「英語の新聞や小説を読む」なんて行為も同様と言えます。(英語が好きパターン)
つまり、英単語が覚えられない原因は「眺めているだけ」ですね。これ多くの受験生がやってる行為ですね😅そして、ほぼ例外なく不合格でしょうね(苦笑)
以上、英語の学習法を例にフランシス・ベーコンのイドラ論を紹介したのか、フランシス・ベーコンのイドラ論を使って英語の学習法を紹介したのか、よくわからない状況ですが、結びにしたいと思います。
最後に、自分もどこかのイドラにハマってると思いますので、この文章からどのイドラにハマっているのか探してみるのも面白いかもしれません。
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