2024年7月4日 トイレットペーパーの幻影
今日から一階の和室で寝る。自室はクーラーがないので、さすがに昨夜の暑さにこたえた。扇風機を全面自分に当てて壁にぴっとりとくっつき、わずかな涼を得るために片足を窓にひっかけながら眠った。命の危険を感じつつ、それでも他の部屋で寝ようとしない自分に、私の一番の欲求は怠惰なんだなあと思った。
ふだん和室は主に園芸と作り物系の物置になっていて、ほぼ倉庫のような趣の隅の方に私の机がひっそりとある。その机の脇に布団を敷いて寝ることにした。枕元にはちょうど石膏デッサン用のメディチ像がいて、驚くほどくっきりとした精緻な顔立ちに見とれてしまう。妙な夢を見そうだ。
早々と寝巻きに着替えて今これを書いているのだが、さっきトイレに行った時トイレットペーパーが左になくて驚いた。普段使ってる自室近くのトイレとは逆の位置なのだ。
たぶん寝巻きに着替えてなかったら、この衝撃は起きなかったと思う。着替えたことにより、身体がリラックスモードに入ったのだ。おそらく脳の一部がOFFになり、ルーティン的な動作から自動化される。だから私はさっき、流れるように左に向かってトイレットペーパーを巻こうとしたのだ。自分の身体が夢見ている架空のトイレットペーパーの幻影を、その時確かに左の壁際に見た。