140字小説【レシピは分かっているのに】
世の中がどれだけ便利になろうと、手間暇かけた料理の方が美味しいに決まってる……そう思ってきた。
だから私はなるべく《簡単》と言われるものには頼らなかったし、ましてや出来合いのお惣菜なんて、なおさらだった。
ただそれでも、亡き母が市販の出汁で作る料理の味には、どうしても勝てない。
世の中がどれだけ便利になろうと、手間暇かけた料理の方が美味しいに決まってる……そう思ってきた。
だから私はなるべく《簡単》と言われるものには頼らなかったし、ましてや出来合いのお惣菜なんて、なおさらだった。
ただそれでも、亡き母が市販の出汁で作る料理の味には、どうしても勝てない。