見出し画像

140字小説【オジサンという名の魚】

「おっ、姉ちゃんどう? 釣れてる?」

 と、気さくに声をかけてみても、女は釣り糸を垂らしたまま一切反応を示さない。
 だから釣れない女だと、そう諦めかけた矢先……

「あれ? 姉ちゃん、きてるよ!」
「マジ!? よっしゃあ!」
「男!?」

 女はオジサンが釣れた。
 そして俺もオジサンが釣れた。