「終末遊園地」ディストピアBL 感想
BL小説の同人誌(オリジナル作品)を読んだ感想です。
和泉桂先生、木原音瀬先生、水壬楓子先生の合同誌「終末遊園地」(お題は「ディストピアBL」)を読みました。
ディストピアとは…反ユートピア。暗黒郷。
だそうです。(ユートピアは理想郷)
BLというジャンルはハッピーエンドが圧倒的に多いですが、「ディストピアBL」となるとどうでしょう?あまりハッピーなイメージは湧きません。
加えて、こちらは同人誌ですからね。商業作品よりも、作家の好きに書ける印象。
イヤな予感がしますね!(*>ω<*)ドキドキ
以下、読んだ感想です。
未読の人に紹介するつもりで書くので、
具体的なネタバレは避けますが、
舞台背景やどんな読み味か(バッドエンドかハッピーエンドか含む)には言及しますのでネタバレ回避したい方はご注意下さい。
「ニライカナイ」和泉桂 先生
舞台は、砂漠化した世界。プラントと呼ばれる、人間が生きるのに必要な設備の揃った施設で独り暮らすニーラの元に、叶と名乗る人間が現れる。
「自分以外に生きた人間がいるなんて」と驚くふたりは一緒に暮らし始め……
ひたむきに相手を想うふたりが、いじらしくて、なにも悲しいことは起こらないのに悲しくなってしまう…そんなお話でした。
でも、悲しいと思うのはこちらの勝手であって、ふたりは幸せなのでしょう。
少しでも長く、変わらずに、この幸せが続くことを願ってやみません。
「error」木原音瀬 先生
舞台は宇宙船。「地球が爆発する」という予測を受けて、移住するため他の星へ向かっている途中。
主人公の滝亜には、特別で最愛の恋人がいる。船は別々になってしまったが、ふたりだけの秘密の方法で愛を確かめ合う日々。
そんな中、滝亜の乗る宇宙船に警報が鳴り響き……
この記事をご覧の方で「ディストピア」と聞いてソワソワしたりワクワクしてしまった人はいらっしゃいますか?
そんなアナタに朗報です。
ここに地獄がありますよ!!
いや~、すごいです。さすが木原先生、期待を裏切りません。
閉鎖的空間、極限状態、そこに主人公の特殊な体質を加えて、思い付く限り最悪の状況が主人公を襲います。救いが無いにも程があるぜ…。
わたし自身は(創作物を読む上で)積極的に求めはしないけれど、覚悟があれば地獄もそれなりに楽しめる人間ですが、
この作品には多少のグロ表現があるのと、恋人以外の人間に犯される描写がありますので、それらが苦手な方は注意が必要かもしれません。(トラウマになるかも…)
さすがにショッキングな内容に、読み終わった後すぐ次の作品に行けずに休憩しました。
(次の作品でも地獄を見せられたらと思うと怖い…。)
…気を取り直して、最後、3作品め。
「Hakobune」水壬楓子 先生
生まれ落ちたフロアで、人の階級が決まる世界。フロアは上からA~Eまであり、Aは明るい甲板、Eは暗い船底…そう、ここは巨大な船の上。
主人公ミハルは、上流階級のAフロアに属しながらもこの世界の仕組みに違和感を持って生きてきた。
ある日出会った下層の男にミハルは……
この作品が、3作品の中で一番BLらしいBLでした。甘いシーンもしっかりあります。
(これがこの本の最後にあるのは先生方の良心だと思う)
ディストピア要素は、舞台設定に現れていますが、主要キャラに悲壮感はなく、生き生きとしています。
現状を打開したいと願い行動する、強い人たちのお話です。
以上3作品、「ディストピア」という同じお題で書かれていますが、それぞれ読み味が違っていて面白かったです。
読後感を考えると、読む順番は収録されている順に、がベストだと思います。
(マイルド2本で地獄をサンドイッチ…)
短編で、ふたりのその後に想像の余地があったりするのも、また良いですね。
皆さま、気になる作品はありましたか?
同人誌で小説…あまり手に取る機会は無いかもしれませんね。
これを機に、一冊いかがでしょう?
わたしが利用した、木原先生の自家通販は既に終了していますが、
コミコミスタジオやBOOTHで入手出来ますので、
気になる方は是非チェックしてみて下さい。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コメントいただけたりすると、嬉しく思います。
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