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40代正社員ワーママ退職②すぐには退職できない

子どもを産んでからずっと頭によぎっては、消し、よぎっては消してきた「退職」
「退職しちゃいけないんだ」「正社員の職を離れたら二度と戻れないんだ」「続けるのが一番いいんだ」「退職したらきっと後悔するんだ」と奮い立たせ、歯を食いしばって続けてきました。
悩みに悩んで出した結論、「退職」を告げたのだから、頭の中がすっきりするかと思いきや、自責の念が募るようになりました。

そして、そんな負い目をさらに助長するかのように、猛烈な引き留めに遭うことになりました。

1.退職願を受け取ってもらえない

上司に退職を告げた日、すでに退職願は作成していました。しかし、退職願はすぐには受け取ってもらえませんでした。
「意志は固いです」
「退職願の準備はできています」
「お預かりいただいても大丈夫です」と伝えましたが、
なかなか手続きを進めることはできなかったのです。

1週間経ち、会社の上層部まで退職の話が届いても、
「まだ早いから退職願は提出しないで」と告げられ、退職願には日付を記入できないままでいました。

2.仕事が忙しくなる

「退職を告げると、仕事を取り上げられ、干される」と聞いたことがあるかたもいらっしゃるでしょう。実際、わたしも2回産休を取得していますが、1年後復帰すると言っても、仕事を引き継いでしまったら暇になり掃除やファイル整理なんてしていたものでした。
「産休の前みたいに仕事がなくなったら暇だなあ。何をしようか。勉強でもしようか」なんてぼんやり考えていましたが、ありがたいことに、全くそんなことにはなりませんでした。

上司に退職の意志を告げた1時間後には、新しい仕事が飛び込んできました。よし、退職までにあと少しだし終わらそう、と急いで仕上げると感謝され、また仕事が飛び込んでくる。

「ぜひ打ち合わせしましょう」
「来月の○○日空いていますか?」
「この会議への出席をお願いします」
「この件について質問があるのですが、今ちょっとよろしいでしょうか」

なぜ、辞めると告げた次の瞬間から、こんなに忙しくなるのか。
こんなに周囲に求められるのか。
このまま、ここにいた方がいいのではないか。
退職なんて自分のわがままなんじゃないのか。

顔は笑っていましたが、心は泣いていました。
そんな気持ちとは裏腹に、周囲は頼りにしてくれるのです。

当時、わたしはグローバル部門アジア地域担当として働いていました。春節明けで活気づいている中国。1月からが新年度の海外。どんどんとエンジンがかかってきます。社内だけではなく、東南アジア各国支部から、問い合わせの電話やメールがひっきりなしに飛んできます。
毎日毎日残業しても終わらない仕事。さらに、欧米チームからは、英訳チェック、和訳チェック…挙句の果てには、1カ月後の会議まで予定されてしまいました。充実感はありましたが、本当に退職できるのか!?引き継げるのか?と不安になりました。

3.メッセージや電話で辛くなる

15年以上の付き合いがある上司。つらい時も絶好調なときもいっしょに乗り切ってきました。いつしか、眼の表情や雰囲気で考えていることやその時のプレッシャーなどが感じ取れるまでになっていました。
「残業最近多いよね。仕事内容変えるとか、なんとかできるけど、やっぱり退職、考え直さない?」
「ちょっとずつさ、現実にロスが襲ってきてるんだけど」
「本当に、本当に、4月から来ないんだよね?嘘じゃないよね」
関係性が良いからこそ、素直に自分の気持ちを出してくださるのはありがちですが、心が張り裂けそうでした。

でも、退職で抱えるもやもやは、絶対に今いる会社の方には言ってはいけません。そんなの、迷惑だからです。
「そうですね」「申し訳ありません」
そんなフレーズを繰り返していました。

4.退職者が相次ぐ

3月末と言えば、別れの季節です。定年退職のほか、転職者、退職者が相次いぎました。

「退職者がまた2名出ました」
「どのように組織を変えたらよいか考えましょう」
「どなたか、アイディアのあるかたはいらっしゃいますか?」
なんて会議で提案されると、なんといっていいかわからず、下を向いてメモを取るふりしかできませんでした。

わたしは、いたたまれず、3年前に会社を辞めた元同僚に連絡しました。

次に続く

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えいこりあん
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