カスタマーサクセスチームを始めた話
はじめに
こんにちは、チバです。
ナビタイムジャパンで『NAVITIME Location Cloud』(店舗管理者様向けSaaS)のカスタマーサクセスを担当しています。
『NAVITIME Location Cloud』は、店舗検索サイトパッケージサービスである『Location Cloud Media』と、MEO対策クラウドの『Location Cloud Sync』からなるBtoB SaaSです。
前身のサービスから数えて10年以上の提供実績があります。
2021年、『NAVITIME Location Cloud』の成長加速のために新規事業部の創設に伴い、カスタマーサクセスチーム(=CSチーム)が立ち上げられました。
私は立ち上げ半年後の2021年9月に参加して今に至ります。
CSチームがこれまで対応したことと、成果の一部をご紹介します。
カスタマーサクセスチーム立ち上げ以前の課題
新規事業部の創設前、既存事業部内の1プロジェクトで店舗検索サイトパッケージサービスを提供していたころ、プロジェクトにはカスタマーサポート担当が数名いました。サービスインまではツールの設定を行い、サービスイン後は問い合わせ対応を行っていました。
カスタマーサポート担当からお客様にご連絡することはなく、数年まともに連絡が取れていないお客様もいらっしゃいました。
ときどき行う満足度調査アンケートでお客様の状況を伺いますが、回答頂けないことも多くありました。お客様の状況はアップデートされないので、アップセル機会は生まれず、解約はただ受け付けるしかできませんでした。
取り組み
組織作り
CSチーム立ち上げ以前のサポート担当は、オンボーディングとサポートをするビジネス職のメンバーが数名でした。
CSチームを立ち上げた後、ビジネス職の人数を倍以上に増やし、エンジニアも数名参加するようになりました。人数を増やしたことでオンボーディングとサポート以外のサクセス活動にリソースを充てることができるようになりました。また、エンジニアが参加することでお客様の利用状況の分析ツールの開発が進みました。
お客様情報の整理
まず初めに取り組んだのは、お客様情報の整理とヘルススコアの設定でした。もともとあったお客様の一覧情報に、ヘルススコアとヘルススコアの算出に必要なお客様の情報の記入欄を追加していきました。
ヘルススコアは良好、健全、注意、要対応の4段階で定義しました。また、ヘルススコアの算出に必要な情報は、Gainsight社が提唱するDEAR Frameを参考に、Deployment、Engagement、Adoption、ROI、その他と大項目を立て、小項目をプロダクトに合わせて定義していきました。
この中から、まず、手元に情報があるDeploymentとEngagementの整理に着手しました。Adoptionは分析ツールの開発が、ROIは顧客ヒアリングがそれぞれ必要だったため追って進めることになりました。
また、その他に、この4つに分類できない情報、例えば事業縮小傾向があるなどの情報を整理しました。整理できた情報と後に取得するNPSアンケート結果に基づいて、チーム会議でヘルススコアを決定していきました。
見えてきた課題
すぐに見えたのはEngagementの課題です。具体的には、最後にご連絡をとった時期(1か月前か、半年以上前か)や、関係値(お打ち合せに応じて頂けるか、お願い事ができるか、など)で、整理してみると、何年もご連絡出来ていないお客様がいらっしゃいました。そのようなお客様は、ヘルススコアを注意、要対応に設定し、Engagementを高める対応を取る方針としました。
アクションと効果
ただ、タッチを増やすといっても突然なんの脈絡もなくお客様に連絡するわけにはいきません。
お客様にとって有益な話のネタを準備することになりました。幸いご連絡出来ていない間に、機能のアップデート、新サービスのリリース、他のお客様の成功事例など有意義な情報があったので、それらを整理してお客様ごとにご提供することにしました。そして、お客様毎に担当とアクションプランを立てて、実際にご連絡するようになりました。
すると、それまでお伺いできていなかったご要望やご担当者様の変更情報を得ることができました。また、伺ったご要望に応じて提供内容をカスタマイズしたり、サービスのアップグレードのご提案ができてアップセルにもつなげることができました。
そうした活動により、取り組みを開始した2021年度の解約件数は、前年度と比べて半減し、2022年度以降もその水準を維持するという大幅な改善ができました。また、2022年度には、ヘルススコアが注意か要対応のお客様の数を期初の2/3以下にすることができました。
また、お客様からありがたいお言葉を頂けたことも顕著な効果でした。CSチームの活動の一環で行った導入事例の取材を通し、お客様にしっかりと貢献できていることを実感できました。
CRMツールの導入で効率化
組織作りや、新たな取り組みに並行して、CRMツールを導入して業務効率化と情報共有の改善も行いました。ロケーションマーケティング事業部のCSチームでは主に以下の用途で使用しています。
コンタクト情報、取引情報の集約(メール自動取込、ミーティング記録)
メール、アンケートの配信(配信メール、配信コンタクトリストの管理)
オンラインコンテンツ(マニュアル、ツール活用記事)
特にコンタクト情報の整理とメール配信環境の整備によって、サポートメールやアンケートメールの配信がとても楽になりました。それにより、NPSアンケートの配信頻度を上げられて、お客様の状況やご要望を短いスパンで頂けるようになりました。
取り組みのまとめ
組織作りと新たな取り組みでお客様のヘルススコアを可視化し、積極的にアクション出来るようになったことで、解約防止とアップセルにつなげることが出来ました。導入初期は色々と情報が揃っていませんが、まずはできるところから取り組んでみたところ、すぐに解約防止やアップセルなどの成果につなげられました。
また、CRMツールの導入で効率化を進められたので、持続可能な取り組みとなりました。
今後の展望
今後は以下のことに力を入れていこうと考えています。
まず、ヘルススコアの解像度をあげていきます。具体的には、Adoption(ツールのご利用状況)やROI(サクセス状況)を情報整理して、ヘルススコアに反映させていきたく思います。これにより、お客様へのご提案内容やサポート内容をよりきめ細やかなものにしていきたいと考えています。
次に、テックタッチの環境を整備していきます。CRMツール上でのオンラインコンテンツと、情報配信スケジュールを整備し、お客様により適切なタイミングでより適切な情報をお届けできるようにします。これにより、お客様のサクセスを加速していきます。
最後までお読みいただきありがとうございました。